SNS戦略策定5ステップ|ボトルネックをつきとめるSNS運用法を解説

SNS戦略策定5ステップ|ボトルネックをつきとめるSNS運用法を解説

SNS戦略を立てる上で、KPIやKGIの設定は基本中の基本です。
ただ、実際に運用をしていくと「当初の目標フォロワー数には到達したけれど、何に効果があったかわからない」「フォロワーを獲得した後、何に繋げたら良いのかわからず、ただフォロワーが多いアカウントになってしまった」といった状況に陥ることも多いでしょう。

そこで本記事では、SNS運用における真の課題(ボトルネック)を正しく見抜き、本質的な課題解決に向かうための戦略策定方法を解説しています。

  • SNS運用を邪魔する「ボトルネック」とは
  • 効果的なSNS戦略策定に必要な5ステップ
  • 有効なコンテンツ事例

▶関連資料
ボトルネックをつきとめる!SNS運用の戦略設計術

SNS運用戦略を考える際にポイント課題の捉え方、解消方法をご紹介します。

ボトルネックをつきとめる!SNS運用の戦略設計術

SNS戦略において重要なボトルネックとは

SNSにおけるボトルネックとは「現状と向かうべきゴールがあった時に、それを邪魔しているもの」を指します。

「施策」=ボトルネックを解決し、現状をゴールに変えるアイデア。

「現状」から「ゴール」に向かって矢印(=「施策」)が走っている。
その矢印のおかげでボトルネックが弾き飛んでいる図

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
ある老舗の食品メーカーは、顧客の中心が高齢者となっていました。
そんな中、若年層にも認知を広げ顧客拡大していこうと、X(旧Twitter)をスタート。

「フォロワー3,000人」を目標に掲げたものの、具体的な戦略は無いまま、とりあえず商品紹介や担当者の日常、今日の天気などの情報を投稿しました。結果、フォロワーは増えず、ユーザーからの反応もほとんどありません。

なかなかフォロワーが増えないので、抽選でアマゾンギフト券が当たるフォロー&RTキャンペーンを実施。すると、少しずつフォロワーが増え、目標の3,000人を達成できました。

しかしフォロワー3,000人になっても、フォロワーが少なかった時と同様に、投稿にほとんど反応はありません。
このケースは、当初達成したかった「若年層に商品を認知してもらう」というゴールを達成しているでしょうか?

今回のような、“KPIは達成したのに、KGIの達成につながらなかった”というケースは「フォロワー数が少ない」という表層的な課題に、「若年層ユーザーとのコミュニケーション不足」という真の課題が隠れてしまっている状況であると言えます。

SNS戦略では、こうした真の課題を正しく見抜き、本質的な課題解決に向かうことが大切です。

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SNS戦略の5ステップ

ここからは、ボトルネックをつきとめ、効果的なSNSマーケティング戦略を策定するために必要な5ステップを解説します。

5ステップの全体像

SNS運用のアカウント方針設計から実行施策まで、基本の流れは以下の5ステップです。

  1. 最終的な目標設計(KGI)
  2. アカウントの目的/役割の設定
  3. アカウント成長フェーズの理解
  4. 指標の設計(KPI)
  5. コンテンツの企画
<SNS運用の戦略設計>
〜基本の方程式〜
ゴール
①最終的な目標設計(KGI)
②アカウントの目的/役割の設定

現状
③アカウント成長フェーズの理解
④指標の設計(KPI)

施策
⑤コンテンツの企画

コンテンツで効果検証を行っていく

この流れに沿って戦略設計することで、“より正しく”ボトルネックを発見し、改善できるでしょう。
なお、戦略の効果検証は基本的に、投稿文や画像・動画などのコンテンツに対するユーザーの反応でおこないます。コンテンツに対する「いいね!」やコメントといったアクション量、好意的なコメントの有無といったユーザーの態度によって、戦略が正しかったかどうか判断していく流れです。

ステップ1.最終的な目標設計(KGI)

企業・事業・商品のゴールから、SNSで達成すべき目標を定める。

ここからは、ステップごとのポイントを解説していきます。

第一に、SNSを活用することで達成したいゴール(KGI)を定める必要があります。
企業の認知度アップなのか、商品の売上アップなのか、あるいは新規顧客開拓やブランドイメージの刷新なのか。その粒度は様々です。

<ビジネスゴールの把握(KGI)>
KGIと言っても粒度は様々。
※「企業レベルのゴール」「事業のゴール」「商品のゴール」など。
目標の粒度によって、SNSでやるべき手法や目指すべきKPIも変化します。

企業ゴール(ex:企業の認知度を10%上昇させる)
↓
事業ゴール(ex:新規事業を前年度比130%成長させる)
↓
商品ゴール(ex:サービスのユーザー数を前期より10%伸ばす)

あくまでもSNS運用は、数あるコミュニケーション・プロモーションの中の一手段に過ぎません。企業やブランドが目指している最終的なゴールを大前提として、そこに対し「SNS活用がどのように寄与するのか」という観点から、改めてKGIを設計していきましょう。

なお、後の効果検証のため、認知度アップやブランディングなどをゴールとする場合は特に、このファーストステップにおいて現状の実態をデータで残しておくのがポイントです。

データ取得には、インターネットでイメージ調査を実施したり、ツールなどでUGC数やUGCの種類などの傾向を把握したりといった方法があります。

ステップ2.アカウントの目的/役割の設定

ユーザーの消費行動の流れをベースに、自社SNSアカウントの目的/役割を定める。

SNSアカウントの目的/役割を設定する上で考えるべきは下記の2点です。

  • 消費行動フローの中でSNSに期待することの設定
  • 活用するSNSの選定

消費行動フローの中でSNSに期待することを設定

KGI設計ができたら、次はSNSアカウントの目的と役割を明確にしていきます。

立ち上げ初期は、上流のマーケティング戦略(誰に・何を・どう届けるか)と整合させながら、会社全体の方針の中でSNSが担う役割を合意形成して決めるのが堅実です。

例えば「認知の拡大を最優先にするのか」「既存顧客のロイヤルティやLTVを高めるのか」など、消費行動フロー上の“どのフェーズ”にSNSで寄与するかを先に決め、SNS運用の目的を定めましょう。

また、運用が軌道に乗りフォロワー数やエンゲージメントが一定水準に達した段階では、初期に定めた仮説のままにせず、定量調査でフォロワーの実態を捉え直して目的を再定義していくのが良いでしょう。

テテマーチでは、フォロワーを対象にした定量調査アンケートでアカウントの実態を明らかにする「SNSフォロワー購買行動調査」を提供しています。属性・フォロー動機・投稿への期待、接触後の態度/行動の変化までを把握し、SNSの役割(認知・比較検討・購入・ロイヤルティ)をデータで可視化します。

つまり、「誰に」「どんな投稿が」「どの行動につながっているか」を数値で言語化し、運用目的を精緻化するアプローチです。

ヘアケア用品ブランドのInstagramアカウントを対象とした調査の詳細が図で示されている。

ロイヤル顧客ほど、企業やブランドの取り組みに関する投稿に情緒的価値を感じており、アカウントの投稿はブランド好意度やLTV向上に寄与している。

興味(潜在層)>情報収集(顕在層)>比較検討(明確層)>行動(顧客)>利用(一般顧客)>愛用(リピート顧客)>共有(ロイヤル顧客)
のうち、フォロワーの85%が行動〜共有のフェーズにいた。

例えば、ヘアケア用品ブランドのInstagramアカウントを対象とした調査では、以下のことがわかりました。

  • ブランド好意度の高い既存顧客が多く、新商品・限定情報や香りによる気分など情緒的価値への期待が強い
  • 未購入者は広告やキャンペーンをきっかけにフォローし、その後の接触で購入に至るケースも確認できた。

つまり、既存・新規の両軸へのアプローチが有効だと考えられます。

この知見を運用方針に落とすなら、SNSアカウントの目的は「既存顧客の好意度・LTVの向上」を主軸に据え、役割は「新商品・限定の一次情報や情緒的価値を継続的に届ける“関係維持メディア”」と定義するのが妥当です。合わせて、サブ目的として「未購入層の獲得」を設定し、Instagram広告やキャンペーン施策でフォローの入口をつくる → アカウント内の継続接触で購入へ育成という筋書きを設計します。

こうして上流のマーケティング戦略とフォロワー調査の結果を照らし合わせて更新していくと、SNSが消費行動フローのどこに効いているのかがクリアになり、目的とKPIの“ズレ”を最小化できます。

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活用するSNSの選定

プラットフォーム国内月間アクティブユーザー数特徴
Instagram約6,600万人(2023年12月時点)・画像や動画がメイン。ビジュアル訴求に優れている
・商品の質感や世界観を伝えやすい
・発見タブやリールでフォロー外のおすすめにも自然に出会える
・表示は自身のつながり(フォロー関係)と興味・視聴行動の両軸で最適化される
TikTok約3,300万人(2025年7月時点)・コンテンツ起点のレコメンドが強く、思わぬ商品との出会いが生まれやすい
・縦型ショート動画中心の没入型フィードで、連続視聴が起きやすい
・TikTok Shopで、動画/LIVEから商品表示〜購入までアプリ内で完結
X(旧Twitter)約6,800万人(2025年5月時点)・テキスト起点で“いま”が流れる、速報性と拡散性の高いタイムライン
・「おすすめ/フォロー中」の2系統で、発見と既存関係の両方をカバー
・トレンドで急上昇ワードや話題が可視化され、参加・拡散が起きやすい

ここからは、商材の種類や期待する態度変容に応じたSNSの選定方法について、テテマーチで実施した2000件の調査データを用いて一部ご紹介します。

【調査概要】
調査期間:2023年11月20日〜2023年11月22日
調査対象者:SNS(X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LINE、TikTokのいずれか)をほぼ毎日利用する、15~59歳
サンプル数:2000名

>詳しい調査結果はこちらからご確認ください
マーケティングに使うSNSの選び方|2000名調査で分かった業界・ターゲット別の媒体特徴

Instagramと相性の良い業界(商材)・役割

Instagramは、「化粧品」「ファッション関連」「外食店舗」などと相性が良いプラットフォームです。以下の調査結果からもわかるように、特に「ファッション関連」は、商品認知から購入までのどのファネルにおいても有効です。

各消費行動フェーズにおいて「きっかけ」となった媒体がランキング化されている。
(今回は「ファッション関連」における消費行動フェーズ)

認知段階〜理解段階〜購入・利用・来店段階のいずれにおいても、Instagram、企業の公式HP、YouTubeがきっかけとなっている

仮に、ユーザーの消費行動フェーズの中でSNSの役割を「商品理解の促進」と設定するなら、SNSの目的は商品への興味喚起による「ECサイトや公式サイト/実店舗への導線・誘導」となると考えられます。

TikTokと相性の良い業界(商材)・役割

TikTokは10代~20代の若年層を中心に、「化粧品」「日用品」「ファッション関連」「オンラインサービス」などと相性が良いプラットフォームです。
特にTikTokはコンテンツベースのアルゴリズムによって、フォロワー数に依存せず情報が広がる傾向にあるため認知拡大に効果大。またショート動画という投稿形式はテキストや画像よりも情報量が多いため、商品の理解促進にも影響を与えやすいと言えるでしょう。

「化粧品」を例に挙げると、TikTokは10代女性が商品認知をする媒体として大きな影響を与えていることが調査結果からわかりました。
この場合、ユーザーの消費行動フェーズの中でSNSの役割を「商品認知の促進」と設定するなら、SNSの目的もそれに応じて「潜在層への認知度向上/発見される瞬間の創出」となるでしょう。

商品(化粧品)を認知するきっかけについて調査した結果が、性年代別で示されている。
女性10代〜30代では「Instagram」が60%前後で推移。女性10代については「TikTok」も47.8%で飛び抜けて高い。

※設問文「次の商品・サービスについて、あなたが知らなかった商品やサービスを知る・見つけることがある情報源はどれですか。」(MA)上位12項目まで表示(基数:各商品・サービス関与者)

X(旧Twitter)と相性の良い業界(商材)・役割

X(旧Twitter)は、他のプラットフォームと異なり、画像や動画が無くともテキストのみで手軽に投稿できるという点で、男女ともに圧倒的なユーザー数を誇っています。
どんな商材にも対応しますが、「ゲーム/玩具」「飲料」「オンラインサービス」などとの相性が良いプラットフォームです。

「ゲーム/玩具」を例に挙げると、調査結果では10代〜30代男性が商品理解をする媒体として、大きな影響を与えていることがわかりました。
ユーザーの消費行動フェーズの中でSNSの役割を「商品理解の促進」と設定するなら、テキストベースのプラットフォームの特性も考慮し、SNSの目的は「口コミ数(=購買意欲の向上)」や「ブランド好意度の向上」となるでしょう。

商品(ゲーム/玩具)を理解するきっかけについて調査した結果が、性年代別で示されている。
男性10代〜30代は「X(旧Twitter)」が約20%で並んでいる。

※設問文「次の商品・サービスについて、あなたが商品やサービスの詳しい特徴を理解できたことがある情報源はどれですか。」(MA)上位12項目まで表示(基数:各商品・サービス関与者)

このようにSNSプラットフォームや扱う商材の種類、ターゲットによって影響度が異なるため
それらを踏まえたSNSの選定が必要です。

ステップ3.アカウント成長フェーズの理解

自社SNSアカウントの現在地から、今やるべき施策を定める。

ここまで、長期的に見て変動の少ない情報から、アカウントのゴールを設計してきました。
ステップ3で取り扱うのは、より短期的に変動していくスコープの設計です。

まず大前提として、現時点の立ち位置(アカウントの成長フェーズ)を理解する必要があります。

InstagramやX(旧Twitter)は大まかに、以下のような流れで成長していきます。

基本的に左から順に少しずつ成長していきますが、ある1つの投稿がバズったり、インフルエンサーによって商品・サービスが紹介されたりと、何らかの特別な要因により一気に成熟に辿り着くこともあります。なお、アカウントが成熟し一定のエンゲージメントが安定して出せるようになったら、それ以降はUGCを増やしていくなど、ユーザーとの関係値を深めるフェーズに入っていくでしょう。

現在、アカウントがフェーズのどこに該当するのかを正しく把握することで、無茶な目標や低すぎる目標を防ぎ、適切な戦略を定めていくことができるというわけです。

SNSアカウントの成長フェーズについての図。

一定のエンゲージメントが安定して出るようになれば、それ以降はUGCを増やしていったり、ユーザーとの関係値を深めるフェーズに入っていきます。

<リーチを伸ばす時期>
リーチを伸ばす施策で、アカウントに多くのユーザーを流入させる。
〜伸ばす手法〜
・キャンペーン
・広告

<フォローしてくれるか試す時期>
リーチ数を伸ばした後はアカウント流入を増加させた際に、フォロワーになりやすい状態を作っておく。
〜伸ばす手法〜
・ベネフィットのある投稿
・一貫性のある投稿
・プロフィールを整える

<フォローされるような高エンゲージメント投稿を模索する時期>
定期的・恒常的な投稿でユーザーを飽きさせず、PDCAを回しながらベネフィットのある投稿を開発し、エンゲージメントを獲得し続ける。

自社アカウントの成長フェーズを客観的に把握するには、業界平均や同規模アカウントの水準と並べて見ることが有効です。

例えば「SINIS for Instagram」の「業界トレンドデータ」なら、自社に近い業界カテゴリと(現在もしくは目標)フォロワー数レンジを指定するだけで、リーチ・インプレッション・エンゲージメント(いいね/コメント/保存 など)の平均・中央値を確認できます。自社の数値がこれらの基準に対して下回るなら初期フェーズ、同程度なら中期フェーズ、安定して上回るなら後期フェーズといった具合に、現在地をおおよそ把握できます。

「SINIS for Instagram」の「業界トレンドデータ」を操作している様子。

自社アカウントの類似業界を選択している様子
↓
類似・目標フォロワー数を選択している様子
「SINIS for Instagram」の「業界トレンドデータ」を操作している様子。

いいね数と保存数の平均値が表示されている。

【前提条件】
・観光、レジャー業界のアカウント
・フォロワーレンジ20,000〜40,000
【結果】
・保存数は30件前後

現状の自社Instagramアカウントの保存数は20件程度のため、まずは業界平均の30件を目標値に設定

例えば、約2万人のフォロワーを持つ、旅行プラン紹介アカウントの場合、業界は「観光・レジャー業界」を選択、フォロワー数は目標値として「20,000〜40,000」を選択。平均値を確認すると、保存数の目安は約30件前後と読み取れるため、現状が20件程度なら短期目標を30件に置く、といった設計が可能です。

ステップ4.指標の設計(KPI)

目的と現在地に合わせ、追うべき指標と目標値(KPI)を数値で定める。

ここからは、いよいよKPIの設計です。

KPIとは、KGIを達成するための過程を計測する中間指標のこと。
ダイエットに例えるならば、「夏までに3ヶ月で−6kg」という最終ゴール(KGI)に対し影響しうるアプローチ:「運動」「食事制限」(KSF)を、「頻度」や「摂取カロリー」といった具体的な数値まで落とし込んだものがKPIです。

KGI・KSF・KPIの説明の図。

ダイエットに例えるなら...

KGI:「夏まで3ヶ月で-6kg目指す!」
KSF:「ジムで運動すること/食事を制限することがポイントになるな!」
KPI:「ジムに週3回行く/1日1500kcalまで摂取」

前述のように、KPI/KGIは定量的な数値の目標として設計。

先ほど「ステップ2.アカウントの目的/役割の設定」にて、SNS運用の「目的」として設定されることの多い項目として以下をピックアップしました。

  • ECサイトや公式サイト/実店舗への導線・誘導
  • 口コミ数(=購買意欲の向上)
  • 潜在層への認知度向上/発見される瞬間の創出
  • ブランド好意度の向上(いいね・コメント・保存)
  • LTV(顧客生涯価値)の向上

▼これらは一般的に、以下のようなKPI指標に置き換えることができます。▼

  • 自社サイトへの流入数(ショッピングタグへの流入数)⚫︎件・・・
  • 関連ハッシュタグ数(UGC数)⚫︎件・・・
  • リーチ数/プロフィールアクセス数⚫︎件・・・
  • 投稿へのエンゲージメント数(いいね・コメント・リポスト・保存数)⚫︎件・・・
  • フォロワー数⚫︎人・・・

基本的にはこの方程式に沿ってKPI設計してOKですが、場合によっては業界ごとの特性を考慮した方が良いことも。

例えば、旅行業界の場合「UGC」の影響力が強く、認知・興味関心段階への貢献度も高いことがわかっています。
先ほど「活用するSNSの選定」で紹介したテテマーチの調査でも、「旅行商品」を認知する情報発信元としては「一般ユーザーの投稿」がトップとなっていました。

商品(旅行商品)を認知する“情報発信元”について調査した結果が、性年代別で示されている。

「一般のユーザー投稿」が全体では19.9%でトップに。性年代別で見ると女性20代が25.2%でトップとなっている。

※設問文「次の商品・サービスについて、SNSサービスであなたが知らなかった商品やサービスを知る・見つけることが多いのはどこから発信された情報からでしょうか。」(MA)(基数:各商品・サービス関与者)

もしKGIが「旅行プランの予約数を増やす」だった場合、そこに影響しうるアプローチ(KSF)は「旅行地の認知」「旅行プランへの興味喚起」。
先ほどの方程式だとKPIは「SNSのリーチ数/プロフィールアクセス数⚫︎件・・・」などが当てはまりそうですが、UGCの影響力の強さを考慮してSNSのUGC数⚫︎件・・・SNS投稿の保存数⚫︎件・・・」をKPIとするのが良いでしょう。

ステップ5.コンテンツの企画

コミュニティ起点のターゲット設定 × SNSに合致した手法・トレンドで企画

最後に、コンテンツ企画です。
ここまで決めた方針を元に、カテゴリバランスなどを考えながらコンテンツを考えていきます。

コンテンツ企画をする上で重要なのは、以下の2つ。
・コミュニティ起点のターゲット設定
・SNSに合致した手法/トレンド

■コミュニティ起点のターゲット設定

SNSの特徴はパーソナライズされた情報伝達にあります。
パーソナライズはユーザーのコミュニティ(興味関心)をアルゴリズムが察知し、おすすめする仕組みとなっているため、ターゲットを性別や年代で絞りすぎず、何に興味がある層に届くコンテンツとするのかを考えるのが重要です。

コンテンツ設計POINT:②ブランドのターゲット

SNS運用は狙ったターゲットにピンポイントで届けられる訳ではないので、
「属性」や「趣味嗜好」「コミュニティ」等を踏まえた、狭過ぎないターゲット設定が必要

■SNSに合致した手法/トレンド

コンテンツを企画する上では、発信するSNSの特徴を踏まえた落とし込みが必要です。
例えば、Instagramはビジュアル訴求に優れたプラットフォームであるため、複数の画をカルーセルで表現する「まとめ投稿」や雑誌のようなデザイン表現をする「マガジン風」投稿、複数の画像(コマ)をまとめて投稿する「漫画」形式の投稿、小説やエッセイをそのまま画像として投稿する「読み物」形式の投稿などが、よく活用される手法です。

コンテンツ設計POINT:③SNSで拡散されるテクニック

・まとめ投稿
・マガジン風
・漫画
・読み物

が例として並んでいる。

コンテンツ企画については、具体的な企業事例を通して理解を深めていきましょう。

X・Instagram・TikTokのコンテンツ企画事例

X(旧Twitter)のコンテンツ企画事例

カンロ株式会社/「スーパーメントールのど飴」

強い清涼感が人気の「ノンシュガースーパーメントールのど飴」。
販売が好調になる春先時期に合わせての認知拡大を目指し、カンロ公式X (旧Twitter)アカウントの運用を当社がサポートしました。

  • プラットフォーム:X(旧Twitter)
  • アカウント:@kanro_pr
  • アカウント名:カンロ公式

商品の特徴である清涼感を追体験できるよう、舐めたときの様子をサーモグラフィで表現するなど、ユーザーへインパクトを与えるクリエイティブで表現しました。
結果、既存のアカウントフォロワー層とは異なるユーザー層へアプローチができたことで、支援をおこなった全ての投稿でKPIを大きく超えるエンゲージメント数を獲得。

Instagramのコンテンツ企画事例

アース製薬株式会社/G目線Instagram

虫ケア用品などを販売するアース製薬株式会社。より親しみやすく、ユニークな企業イメージを浸透させることを目的に、Instagramをスタートしました。
こちらはアカウント開設から運用まで、当社が手掛けた事例です。

  • プラットフォーム:Instagram
  • アカウント:@earthofficialjp
  • アカウント名:【公式】アース製薬🌏

「もしもゴキブリがInstagramをやったら」という設定のもと、ゴキブリ(=G)の目線から日常を捉えた斬新な切り口でのコンテンツを企画。企業公式からは「G目線でInstagramを始める」という旨はあえて触れず、密かにコンテンツ投稿を開始し、“ユーザー自ら発見”することを狙いました。

その結果、ゴキブリ目線の臨場感あふれる発信はユーザーの間で話題に。一般ユーザーがX(旧Twitter)で紹介すると、2万5000件以上のリポスト、10万件以上のいいねを獲得し、そのユニークな発想が高い評価を得ました。ついつい誰かに言いたくなる「!」を企画に取り入れ、第三者に発見・発信してもらうという、UGC発生のポイントを押さえた成功事例と言えるのではないでしょうか。

TikTokのコンテンツ企画事例

カルビー株式会社/「あげりこ学園」

じゃがりこのさらなる売上アップ、顧客獲得を目的に、Z世代の女子高校生をターゲットとしたコミュニケーション施策を実施しました。

  • プラットフォーム:TikTok
  • アカウント:@agerico_gakuen
  • アカウント名: あげりこ学園

具体的には、じゃがりこを誰かにプレゼントして(あげて)日頃の感謝を伝えようという「あげりこ」の文化を浸透させ、カジュアルギフトとしてのじゃがりこの新たな価値拡張を目指すというもの。
TikTokでは、ターゲット世代から共感を呼びやすい学園もののショートドラマを制作。“学校生活あるある”に絡め、「あげりこ」のシチュエーションを多角的に描くことで、自分ごと化を促しました。

結果、ターゲット世代の共感を呼ぶ演出、親近感のある脚本によって、「広告」ではなく「楽しいコンテンツ」として認識してもらうことに成功。
最終的には、総再生回数370万回超え、総いいね数27万件超えを記録しました。

まとめ

本記事では、効果的なSNSマーケティング戦略を策定するために必要な5ステップをお伝えしました。
近年、企業のマーケティングに欠かせなくなったSNS。フォロワーを伸ばす方法やエンゲージメントを集めやすい方法など、「点」的なノウハウは既に広まりつつありますが、やはり最も重要なのは、SNSでビジネス貢献していく流れを「線」でとらえた、土台の戦略部分です。よりビジネス貢献するSNS運用をおこなうためにも、ぜひ本記事をご活用ください。


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