リールの90%は再生回数が45,137未満 Instagramショート動画の流行と現状をビッグデータで分析してみた
Date : 2025/04/03
2020年8月にInstagramのショート動画「リール」が登場してから、早いもので約5年が経ちました。
リリース当初は「TikTokのコピーだ」「Instagramらしさが損なわれる」といった意見も見られました。
しかし、現在ではInstagramのなくてはならない機能のひとつとして、多くのユーザーに愛されています。
Instagram自身も、2024年6月時点で既に「Instagram で費やされる時間の半分以上は動画コンテンツに費やされている」とし、動画への注力を明言してきました。
この記事では、そんなリールが企業やユーザーにどう受け入れられてきたか、他の投稿形式であるフィードやストーリーズと比べてどのような特徴があるのかを「SINIS for Instagram」のデータにもとづいて明らかにしていきます。
「SINIS for Instagram」は、2018年9月5日に提供を開始した「Instagram分析ツール」です。登録していただいているInstagramアカウント数は65,000を超え、1,600万件以上のフィード投稿、2,800万件以上のストーリーズ投稿、180万件以上のリール投稿のデータを保有しており、分析対象となる総エンゲージメント数は数十億という規模です*。
*2025年3月時点
*以下のデータは、いずれもテテマーチが開発・提供するSINIS for Instagramが取得・保有しているものです。Instagramのすべてのアカウントを対象としたデータではない点に留意してください。
目次
リールを投稿しているアカウントは全体の50%以上
リールを投稿しているアカウントの数は、2022年4月までは全体の10%未満でした。
しかし、2022年の中頃に、新しい動画投稿がすべて「リール」として扱われるようになった*ため、2022年5月に21%、2022年6月には30%に急増し、その後は増加傾向が続いています。
そして、2024年12月時点では、なんと50%以上のアカウントがリールを投稿しています。
*Introducing New Ways to Collaborate and Create With Reels
https://about.fb.com/news/2022/07/new-ways-to-create-instagram-reels-remix/

興味深いのは、ストーリーズとリールは利用アカウント割合の増加傾向が続く一方で、フィード(1枚または複数枚の画像投稿)の利用アカウント割合が減少傾向にある点です。
2024年12月時点で、15%のアカウントは既にフィード投稿をしていません。
2025年内には、フィードとストーリーズの利用アカウント割合が逆転するでしょう。
1アカウントあたりの投稿数はリールが最も増加傾向にある
また、1アカウントあたりの投稿数を見るとフィードは減少傾向(2024年12月は2020年8月比で64%)、ストーリーズは微増傾向(2024年12月は2020年8月比で112%)、リールは増加傾向(2024年12月は2020年8月比で168%)が続いています。

リールは1アカウントあたりの投稿数こそ少ないものの、投稿される数自体は増えていると言えます。
ストーリーズよりもリールのほうが総計の表示回数が多い
では、合計インプレッション数(総計の表示回数)はどうでしょうか。
あくまでもSINISに登録されているアカウントを対象としたデータですが、なんと既にストーリーズよりもリールのほうが合計インプレッション数は多く、リールのほうがより多く見られている状態です。
また、リールの合計インプレッション数はフィードにも近づいており、2025年内に逆転する可能性もあります。

2024年4月のMetaの四半期決算発表で、Mark Zuckerberg氏は「リールだけで、アプリ内で費やされる時間の50%を占めています」と発言しました*。現在では、よりリールの視聴時間が伸びていると思われますが、インプレッション数で見てもリールの存在感はどんどん高まっています。
*The Rise of Reels — Meta Says Reels Now Accounts for 50% of Instagram Time, with Threads Surpassing 150 Million Users
https://www.digitalmusicnews.com/2024/04/25/the-rise-of-reels-meta-q1-report/
1投稿あたりのインプレッション数はリールがフィードの2倍以上
平均インプレッション数(1投稿あたりの表示回数)も見てみましょう。
リールの平均インプレッション数はリリース当初と比べるとやや減少傾向ではあるものの、他の投稿形式と比べると飛び抜けて大きいことがわかります。
2024年12月時点で、リールはフィードの2倍以上の平均インプレッション数でした。
リールだけでなくフィード・ストーリーズもそれぞれ微減の傾向が続いています。

これは、Instagram内のアカウント数が増えたことで競合性が高まり、インプレッションを獲得しづらくなっていることを意味します。
再生回数の多いリール投稿は年々増え続けている
ただ、平均インプレッション数が減少しているからといって、すべてのリールの再生回数が伸びづらくなっているわけではありません。
SINIS内に蓄積されているリールのデータのうち、再生回数トップ100の投稿を対象に、2020〜2024年のどの年に投稿されたものかを調査したところ、2024年の投稿が最も多く、全体の約半数を占めました。
つまり、トップクラスに再生回数が伸びる投稿は、これまで以上に多くの再生回数を獲得できるようになっているのです。

この理由は、より多くのユーザーがリールを視聴するようになったことだと思われ、この傾向は今後もさらに強まっていくことが予想されます。
リールでの100万再生の達成割合は約0.4%
SINISで取得したデータのうち、2024年に100万再生以上を達成したリール投稿数は3138でした。
2024年のすべてのリール投稿数は734,422だったので、リールでの100万再生の達成割合は約0.4%(1,000本のリールのうち、4本が100万再生を達成している)ということになります。

これを多いと見るか、少ないと見るかは判断が分かれるところです。個人的には「意外と多いな」という印象でした。
ただ、次のデータも合わせてみると、少し見方が変わるかもしれません。
リールの90%は再生回数が45,137未満
2024年のすべてのリールについて、再生回数の大小に応じた10の区間を設定してみると、上位10%に入るための再生回数は45,137であることがわかります。
逆に言えば、リールの90%は再生回数が45,137未満だということです。

再生回数が1,000を超えるリールは全体の70%強、再生回数が10,000を超えるリールは全体の30%強です。
ほとんどのリールは再生回数が伸びないまま見られなくなっていく、という事実が明らかになりました。
リールはレコメンドを中心とした視聴体験を提供しているので、人気の動画はより多くのユーザーに視聴される一方で、人気のない動画はそもそもレコメンドされず、視聴される機会を失います。
まとめ
リールを投稿するアカウントは増え、リール投稿数も増えつつありますが、それによって競合性が高まったことにより、平均インプレッション数は減少傾向です。
トップ層のリールの再生回数は伸び続けており、2025年もこれまで以上に再生回数の多いリールが出現すると予想されますが、100万再生を超えるリールは全体の0.4%に過ぎず、リールの90%は再生回数がおおよそ45,000を下回っています。
つまり、リールは成功した(再生回数が伸びた)ときのインパクトが年々大きくなっている一方で、ほとんどのリールは再生回数が少ないまま消えていく、ということです。
次回の記事では、このリールの現状について、テテマーチのディレクター視点から見た感想や、今後のInstagram活用のポイントについて解説いたします。