TikTok Shopとは? -次世代ソーシャルコマースの基本概念-

TikTok Shopとは? -次世代ソーシャルコマースの基本概念-

Date : 2025/06/30

現在、ショート動画SNSとしてZ世代を席巻中のTikTokが、2025年夏、ついに日本で「TikTok Shop」を本格始動します。

“動画を見て・欲しくなり・すぐ買う”をワンストップで実現する「発見型EC」という新たな位置付けのTikTok Shop。従来のECやSNS広告では届かなかった潜在需要をどう捉え、どう売上につなげるのか、今こそ戦略の再設計が求められています。

そこで本記事では、日本ローンチ前に押さえておきたいTikTok Shopの仕組みと市場性、企業が取るべきアクションを解説します。自社のEC拡大やSNS活用のヒントとして、ぜひご活用ください。

この記事でわかること

  • TikTok Shopの仕組みと主要機能
  • 発見型ECと検索型ECの違い
  • 日本市場での可能性と参入メリット
  • 企業が今すぐ着手すべき準備5ステップ

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TikTok Shopとは?|エンタメ×ショッピングの新体験

TikTok Shopは、視聴中のショート動画やライブ配信からワンタップで商品ページに遷移し、決済まで完結できるアプリ内一体型EC機能です。自らの欲しいものを“検索”して探す従来のECと違い、タイムライン上の“偶然の出会い”から購入までをシームレスに結びつける「発見型EC」を実現します。

TikTok Shopの主な特徴

  • 特徴 ①:動画経由での即時購入
  • 特徴 ②:インタラクティブなライブコマース
  • 特徴 ③:外部サイト不要のアプリ内決済

TikTok Shopは(1)動画経由での即時購入、(2)インタラクティブなライブコマース、(3)外部サイト不要のアプリ内決済という3つの体験で、エンタメ視聴と購買行動を同じ導線上に乗せます。

動画経由での即時購入

ショート動画に商品リンク(ショッピングカード)を埋め込むことで、ユーザーは視聴画面を離れることなく価格・カラー・在庫を確認し、そのまま購入できます。

クリエイターが「このリップはワンストロークで発色が抜群」など、商品の推しポイントを語るまさにその瞬間が、視聴者の購買意欲が最高潮になるタイミング。その場で購入ボタンを提示すれば、企業はムダ打ちなく売上を伸ばせるうえ、ユーザーも外部サイトへ遷移するストレスなく“欲しい気持ち”を即時に満たせます。結果として、衝動買いを後押しするフリクションレスな導線が実現するのです。

インタラクティブなライブコマース

配信者はライブ中に商品リンクをピン留めし、視聴者の質問にリアルタイムで答えながら販売できます。

テレビ通販(QVC)の“実演+即購入”を、そのままスマホ画面に合わせて縦型・コメント付きで再構築したような形です。配信者が試着や比較をおこない、視聴者は「サイズ感は?」「生地感は?」とチャットで尋ね、回答を聞いた瞬間に下部の購入ボタンをタップ。この一連の流れが数分以内で完結します。

実演による説得力と双方向コミュニケーションが組み合わさることで、店頭接客に近い体験をオンラインで実現し、購買意欲を逃さずキャッチできる点が大きな特長です。

外部サイト不要のアプリ内決済

TikTok Shopでは商品検索 → 詳細確認 → 比較 → 決済 → 配送状況の確認まで、購買プロセスをすべてアプリ内で完結できます。

ユーザーが外部サイトへ遷移する必要がないため、ページ読み込みを待つストレスや「別サイトに飛ばされた」ことで覚える面倒臭さがありません。結果として、購入フローの途中離脱(カート放棄)を抑えやすく、決済完了率の向上が期待できるのが最大のメリットです。

TikTok Shopの効果|発見型ECが生む新しい購買行動

  • 効果 ①:高いエンゲージメントと購買意欲の喚起
  • 効果 ②:インフルエンサー×UGCの拡散波及

従来のオンラインショッピングは、ある程度「これが欲しい」と購入意欲が固まった商品を検索で探し当てる“検索型EC”が主流でした。

一方、TikTok Shopはタイムラインで動画を楽しむ流れのまま 「偶然の出会い → 欲しくなる → すぐ買える」 を一気通貫で設計した“発見型EC”。エンタメ視聴の没入感とワンタップ購入を掛け合わせることで、潜在ニーズを掘り起こし、計画外の購買をも生み出すのです。

ここからは、そんなTikTok Shopが生み出す効果について詳しく見ていきます。

高いエンゲージメントと購買意欲の喚起

・没入感が熱量を高める

スマホ全画面を占有する縦型フォーマットは余計な余白を排除し、視聴者の視線を商品だけに集中させます。さらに数秒〜数分の短尺構成は、冒頭で“悩み”、中盤で“使用シーン”、ラストで“ビフォーアフター”と三幕構成をテンポ良く並べやすいため、短い時間でも商品の魅力を物語として完結させられるのが強みです。

視聴者は「気になる → 変化が分かる → 試したい」という感情の流れを途切れずに体験できるため、熱量が冷めないまま購入ボタンに手を伸ばしやすくなります

・TikTokのハッシュタグ文化が衝動買いを後押し

「TikTok売れ」(※)が日本で話題となった2021年。 その頃から世界的にトレンドとなっているハッシュタグとして「#TikTokMadeMeBuyIt」があります。 これは、TikTokきっかけで商品を購入した際に、その後自らTikTok上で「こんな良いものを見つけた!」と紹介する動画に付けるハッシュタグ。ユーザーは「買った理由」「実際に使った感想」を動画で共有し合います。

こうした投稿タグがあると、フィードをスクロールするだけで “みんなが買って良かった商品”が次々に目に入るので、まだ購入していない人にも「自分も欲しいかも」という気持ちが芽生えます。要するに、ハッシュタグが“つられて買うスイッチ”を押す仕掛けになっているわけです。

広告として押し付けられるのではなく、リアルな購入体験が連鎖的に広がるため、共感ベースの衝動買いが加速。押し付け感の無い購入体験は、Z世代をターゲットとした購買戦略においても非常に重要なポイントとなります。

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インフルエンサー×UGCの拡散波及

・推しクリエイターが“案内役”に

お気に入りのクリエイターが自らの動画でリアルな使用感やビフォーアフターを語り、その場で商品カードを提示すると、視聴者は“友人から勧められた感覚”で安心してタップできます。

購入後は「私も買った!」とレビュー動画を投稿する人が続き、コメント欄やハッシュタグを軸に小さなコミュニティが形成。このクローズドな共感空間が、追加購入や関連商品の紹介につながる“暮らしの延長線上の売り場”を生み出すのです。

・UGCが連鎖しやすい設計

TikTok Shopでは、クリエイターが動画をアップする際に数タップで商品リンク(ショッピングカード)とハッシュタグを追加できます。購入した視聴者が、前述した「#TikTokMadeMeBuyIt」「#購入品紹介」といったタグで「使ってみた」動画を投稿する時も、投稿画面のショップ機能から同じ商品リンクを再選択し、既存ハッシュタグをそのまま付与できる仕組み。

これにより生まれるのが、以下のような循環です。

  1. 最初の紹介動画 → 視聴者が購入
  2. 購入者のレビュー動画 → 同じリンク・タグで拡散
  3. そのレビューを見た別のユーザーが再び購入

タグ検索や商品ページには関連動画が一覧で並ぶため、口コミが雪だるま式に増え、次の購買へと波及しやすい。これが従来のECよりもオーガニック拡散力が高い理由です。

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日本市場のポテンシャル

TikTokは国内でも急速にユーザー数を拡大しており、月間アクティブユーザー(MAU)は3,300万人超、およそ4人に1人の日本人が利用する規模に達しています。

また、テテマーチが以前おこなった調査では、TikTokユーザーは10代女性で76.0%・10代男性で66.0%と突出していました。20代でも男性48.5%・女性57.5%と高水準である一方、30代以降は緩やかに低下。すなわちZ世代がコア層であることが明らかに。

SNSの特徴|性年代別のTikTok利用率

男性10代:66.0%
男性20代:48.5%
男性30代:43.5%
男性40代:33.0%
男性50代:26.5%
女性10代:76.0%
女性20代:57.5%
女性30代:34.0%
女性40代:24.0%
女性50代:26.5%
※設問「以下のSNSサービスについて、あなたはどのくらいの頻度で利用(閲覧・投稿)しますか(SA)」(スクリーニング調査)において、「利用(閲覧・投稿)はしない」以外の回答をまとめた結果をグラフ化

さらにユーザーの63.7%が1日に少なくとも30分以上、さらにユーザーの15.3%は1日3時間以上利用と、主要SNSの中でもトップクラスの滞在時間を誇ります。

これは、コンテンツベースのレコメンドが 「面白い動画が何もしなくても次々と流れてくる」 体験を生み出し、ユーザーが一度開くと離脱しにくくなる、TikTok特有の“中毒性”の高さを示す指標です。

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こうした巨大でアクティブな若年層コミュニティが、TikTok Shopの本格展開後にはそのまま潜在顧客層へシームレスに移行する見込みです。

日本企業にとってのチャンスと戦略的アクション

新たな販路としての活用|若年・ビジュアル商材は“即買い導線”で伸びる

前述した通り、TikTokは若年層リーチが圧倒的です。さらに、テテマーチが以前おこなった調査によると10代女性の40%以上が化粧品やファッション関連商材において「TikTokが新商品やサービスを知る・見つけるきっかけになった」と回答するなど、ビジュアル訴求型・体験価値重視の商材と相性が抜群

SNSの特徴|TikTokの商材ジャンル別|10代の影響度(認知)
化粧品やファッション関連商材の割合が、それぞれ40%以上になっている

この層に届きやすい化粧品・ファッション関連商材はもちろん、開封体験や劇的なビフォーアフターが映える美容家電やライフスタイル雑貨も好例です。ワンタップ購入導線との相乗効果で衝動買いが誘発され、既存ECモールや自社サイトと並ぶ“第三の販路”として機能します。

特にブランド初動期はレコメンドアルゴリズムのバズ効果を受けやすく、検索トラフィックに依存せず売上を伸ばせる点が、日本企業にとって大きなチャンスと言えるでしょう。

先行者メリットと運用支援を活用する

TikTok Shopの国内ローンチフェーズは、競合ブランドがまだ少ない=広告単価・オーガニック露出ともに割安というブルーオーシャン。アルゴリズムが新規ショップを積極的に推薦する傾向もあるため、早期参入はフォロワー・UGCを一気に獲得できる絶好のチャンスです。

さらに近年は、広告代理店やShopify連携アプリ、フルフィルメント代行など開設〜運用までワンストップで支援するパートナーが急増。社内リソースが限られていても、(1)商品登録・物流設定、(2)ライブ台本作成、(3)クリエイターキャスティング、(4)ROASレポーティングまで外部に委託可能です。

今動けば、低リスクで“TikTok経済圏”にポジションを確保でき、プラットフォーム成長とともに売上も伸ばす好循環を狙えます。

今からできる準備|TikTok Shop本格ローンチに備える5ステップ

<5STEP>
ステップ1:アカウント運用の底上げ
ステップ2:商品選定と見せ方の最適化
ステップ3:インフルエンサーとのネットワーク構築
ステップ4:動画制作体制の強化
ステップ5:購買導線設計・ユーザー体験最適化

TikTok Shopの国内ローンチが迫る今、企業が出遅れを回避するカギは事前の土台づくりです。サービスが本格化する前に、次の5ステップを着実に整えておきましょう。

ステップ1. 自社のTikTok公式アカウント運用の底上げ

まずは自社アカウントを“フォロワーが集まるメディア”へ育成することが先決です。

  • 週3〜5本投稿の運用カレンダーを作り、投稿頻度を固定
  • フィード・リール・ライブの3本柱でハウツー → 製品デモ → 舞台裏など多様な企画をテスト
  • インサイトで視聴維持率・保存数を計測し、“伸びた動画”のフォーマットを横展開
  • コメント返信でフォロワーとの対話量を増やし、アルゴリズム評価を高める

→継続的にエンゲージメントを稼げる土台が、Shop開設後の初速売上を左右します。

ステップ2. TikTok向き商品の選定と見せ方の最適化

前述したようなビジュアル映えする商材や変化が分かりやすい商材に加え、ストーリー性のある商材は伸びやすい傾向です。

  • 開封映え・色変化・ビフォーアフターが明確な商材を優先
  • パッケージや使い方を15〜30秒でストーリー化できる切り口を設計
  • 使用例を広げるアクセサリーやセット商品もあわせて紹介

→「動画と同じ組み合わせを買えば間違いない」と視聴者に直感させる導線を作ることが重要です。

ステップ3. クリエイター/インフルエンサーとのネットワーク構築

Shop開設の初動では、フォロワーから支持を集める“推しクリエイター”を案内役に迎えられるかどうかが拡散のカギとなります。

  • ハッシュタグ検索やアフィリエイトプラットフォームで親和性の高いマイクロ〜ナノ層をリスト化
  • コラボ動画やライブを先に実施し、相性と成果をテスト
  • 中長期で継続投稿・インセンティブ設計を提示し、愛着を持って薦めてもらえる関係を築く

ステップ4. 動画制作体制の強化

社内だけで賄うのが難しければ、撮影〜編集〜キャスティングを一括で依頼できる制作会社やクリエイタースタジオを活用しましょう。

  • スマホ撮影+CapCut編集など、ライトな制作フローを社内で習得
  • 社内チームには基本的な縦型撮影・キャプション編集のガイドラインを共有
  • 外部パートナーには商品理解資料・ブランドトーン・禁止表現を提示し、クオリティを担保

→量産しつつ質を保つハイブリッド体制が、アルゴリズムの“継続投稿ボーナス”を活かします。

ステップ5. アプリ内購買導線設計・ユーザー体験の最適化

  • 商品ページのタイトルは日本語で約20字から30字程度に主要キーワードを含め、スマホ画面で途切れないサムネ設計
  • バリエーションが多い商品はカラーごとに高解像度画像と在庫連動で離脱を抑制
  • 決済・配送・返品ポリシーを明示し、FAQ・チャットボットで不安要素をゼロに

まとめ|ソーシャルコマース新時代をリードするために

TikTok Shopの日本上陸は、単なる「ECチャネルの追加」ではありません。

動画視聴・ライブ配信・決済が1つのアプリで完結。ユーザーはまず動画で商品を「楽しみ」、リアルな使用シーンや口コミで「欲しくなり」、画面下に表示される商品カードをタップして価格と在庫を確認、そのまま数タップで「すぐ買う」という一連の体験を味わえます。エンタメ視聴から購入まで熱量を保ったまま移行できる、この購買導線こそが転換点です。

波が来てから慌てて準備するのか、それとも今のうちに土台を築くのか。先に動いた企業ほど、初動の露出と低コストの恩恵を大きく受けられます。

本記事で紹介した5ステップをヒントに、自社に合ったロードマップを描き、TikTok Shopという“第三の販路”で次の成長をぜひつかんでください。

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