OOHとは|SNS時代の屋外広告戦略・事例・特徴を紹介

OOHとは|SNS時代の屋外広告戦略・事例・特徴を紹介

昨今SNSを中心としたマーケティングが激化する中で、新たに注目されているのが、SNSとOOH(交通・屋外広告)を掛け合わせた広告手法です。オンラインとオフラインの両面からアプローチしていくことで、より大きな話題化を狙うことができます。

本記事ではOOHの基本情報から、SNSとOOHの掛け合わせによってもたらされる効果、事例を解説します。プロモーションからUGCが発生する話題づくりをしたい方はぜひご覧ください。

この記事でわかること

  • OOHの種類や特徴
  • SNSとOOHを掛け合わせることで期待できる効果
  • 一方的な広告ではなく、ユーザーの間で広がっていく広告を作るコツ
  • 屋外広告をSNS上で話題化した事例

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SNS×OOHの広告戦略。略話題化のカギはユーザ起点の発見

OOHとは

OOH(オーオーエイチ)とは、「Out Of Home」の略で、看板、交通広告、デジタルサイネージなど、屋外で見ることができる広告の総称です。

そんなOOHの特徴は、広範囲にわたる視認性と高いリーチ力にあります。
特定の地域や通行人をターゲットにでき、反復的な接触を通じて商品・サービス認知を向上させることが可能です。

OOHは古くからある手法ですが、近年はデジタル技術の進化により、リアルタイムの更新やインタラクティブなコンテンツも可能となり、消費者の関心を引く手法として再注目されています。

代表的なOOHの種類・特徴

ここからは、代表的なOOHについてそれぞれ解説していきます。

交通広告

交通広告は、公共交通機関(電車・地下鉄・バス・新幹線・飛行機・タクシーなど)やその周辺で見られる広告全般を指します。具体的には以下のような手法があります。

  • 電車広告

車内広告
中吊り広告、ポスター、ステッカー、電車内サイネージ(車内モニター)、車体広告など

駅広告
ホーム看板広告、フロア広告、壁面ポスター、デジタルサイネージ(電子掲示板)、柱巻き広告など

  • バス広告

車内ポスター、ステッカー、車体ラッピング広告、車内放送、バス停広告など

  • タクシー広告

車内デジタルサイネージ(後部座席モニター)、ステッカー、車体ラッピング広告、シートカバー広告など

  • その他:新幹線広告、空港広告

通勤通学などで毎日多くの人が利用するため特に高いリーチ力があります。また、強制的に繰り返し視認させることによる刷り込み効果も期待できます。

ターゲットとなるエリアの特性を考慮して広告を展開できるため、地域密着型のプロモーションが可能であるとともに、時間帯や場所を限定することで、特定のターゲット層に効果的に訴求できる点がメリットです。

街頭広告

街頭広告は、都市部の街中で見ることができる看板や街頭ビジョンなどの広告全般を指します。具体的には以下のような種類があります。

  • ビルボード(大型看板や掲示板)
  • 電柱広告
  • 街灯バナー
  • 壁面広告
  • 街頭ビジョン(デジタルサイネージ)
  • 横断幕広告
  • フロア広告(歩道や路面)
  • 自動販売機ラッピング広告

これらは人通りの多いエリアに設置され、特に繁華街や主要交差点で目立つ存在となります。種類ごとにサイズや形状が異なり、広告内容やメッセージに応じた選択が可能です。

通行人にインパクトを与えるビジュアル表現ができるため、ブランド認知の向上やブランディング、イベント告知に適しています。

アドトラック

アドトラックは、トラックの側面や背面に大きな広告を掲示した移動型の広告車両で、都市部の主要道路や繁華街、イベント会場周辺で頻繁に見られます。具体的には以下のような種類があります。

  • 静止画広告トラック
  • デジタルスクリーン搭載トラック
  • LEDビジョントラック
  • ラッピングトラック

アドトラックのメリットは、広告が移動する点。広範囲にわたってメッセージを伝えることができるだけでなく、広告自体が動くことで“固定された広告”よりも多くの人の目に留まり、高い宣伝効果を発揮できます。また、音響設備を搭載することで、視覚と聴覚の両方に訴求することができ、広告効果を一層高めることが可能です。

SNS×OOH(交通・屋外広告)の効果

ここからは、SNSとOOHを掛け合わせたアプローチによって、もたらされる効果について紹介します。

認知拡大で商品・サービスの母集団を増加

第一に、リーチの確保です。
通勤や通学で毎日のようにその地点を訪れる人に対し、老若男女問わず何度でもリーチできるOOHと、拡散力の強いSNSとを掛け合わせることで、より多くの人に商品・サービスをリーチさせることができます。

広告やコンテンツをマーケティングファネル全体で捉えると、認知から購入段階になるにつれ、その見込み顧客は少数になっていきます。最終的な購入者数を伸ばしていくためには、母数となる接触者数をはじめにより多く確保することが重要なのです。

SNSやOOHはどちらも、潜在層への認知拡大や興味喚起に寄与するため、母数確保に貢献できると言えるでしょう。

認知拡大で商品・サービスの母集団を増加 の画像

UGC創出(話題化)による間接的な売上貢献

また、SNS上にUGCが多数生まれ“話題化”することは、Webサイト訪問数の増加にもつながります。

以下は「Instagram上のUGC投稿数」と「オーガニック検索経由のECサイト流入数」の関係性を示したグラフです。UGCの投稿数と、サイトの検索流入数は相関関係にあることがわかります。

UGC創出(話題化)による間接的な売上貢献 の画像

「サイトの検索」は、先ほどのマーケティングファネルで言うと、商品・サービスを「理解」する段階での行動です。

これはつまり、UGCが認知〜検討の態度変容を促すことを意味しており、SNS上での話題化は間接的な売上貢献をしていると考えられます。

OOHがSNS上で二次拡散される

誰でも気軽に撮影できるスマートフォンと、誰でも画像を発信できるSNSが普及した昨今、OOHを撮影した投稿がSNS上でバズるといった二次拡散も多く見かけるようになりました。

以下はそれぞれ「自身で撮影したOOHをSNSに投稿したことがあるか」を聴取したグラフと、そのSNS投稿経験者の属性(性年代)のグラフです。

撮影したOOHをSNSに投稿したことがあると回答した割合は49.2%と、約半数に。
また、女性の場合はややブレがあるものの、そのSNS投稿経験者はSNS利用率の高い若年層が中心であることがわかりました。

古くからある手法でアナログなイメージもあるOOHですが、特に若い世代において「今起こった・発見したユニークなことを発信する場」としても機能しているSNSとの相性が良く、話題化をブーストする効果的な手法になりつつあるのです。

SNS時代に必要な「広告のコンテンツ化」

企業でなくとも、個人個人の発信が大きな影響力を持つようになったSNS時代において、企業が「伝える」だけの一方的な広告やコミュニケーションは通用しなくなってきています。

従来のマーケターは市場経済の立ち位置から「いかに自社商品を伝えるか」という点ばかりにフォーカスしがちです。

しかし、そもそも消費者は市場経済の中ではなく、人間社会のネットワークの中に存在しているのだと認識する必要があります。

広告を増やしてもっと多くの人に伝えよう、というスタンスではなく、マーケター自身が“立ち位置”を変え、商品・サービスについて何も知らない一般消費者、ネットワークの一員としてメッセージを広げていくスタンスが重要なのです。

そこで効果的なのが、広告のコンテンツ化

SNS時代に必要な「広告のコンテンツ化」 の画像

“見て終わり”の広告ではなく、消費者個人の発話モチベーションが刺激される広告、つまり、企業・個人の双方向コミュニケーションを生む広告が、SNS時代では必要になってきます。

SNSとOOHの掛け合わせは、まさに広告のコンテンツ化を生むのに最適なアプローチであると言えるでしょう。


SNS×OOHの広告戦略。略話題化のカギはユーザ起点の発見

SNSで話題化になったOOH(交通・屋外広告)事例

ここからは、具体的なSNS×OOH事例を紹介していきます。

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【成功事例5選】UGCマーケティングとは?~口コミを増やすコツ・種類~

株式会社バイオフィリア/ココグルメ

  • 屋外広告の種類:交通広告
  • SNSの種類:X(旧Twitter)
  • 掲出場所:JR渋谷駅ハチ公口
  • 掲出期間:2023年10月30日~2023年11月5日

獣医師監修の手づくりドッグフード「CoCoGourmet(以下:ココグルメ)」を開発・販売する株式会社バイオフィリアは、JR渋谷駅ハチ公口に「忠犬も待てないココグルメ」をコンセプトにした広告を掲出しました。

この広告のポイントは、クリエイティブとコピー、そして掲出場所の3点が上手く噛み合っている点ではないでしょうか。

通行人の目を引くインパクトのあるクリエイティブですが、ブレてしまうほどはやいスピードでエサに向かうワンちゃんの様子からは「食べたい!」「待ちきれない!」というリアルな喜びが伝わってきます。

そして、そこに「忠犬も待てない」というフレーズ。掲出場所である渋谷の”忠犬ハチ公”と掛かっており、「上手い広告!」「食べたい気持ちがめっちゃ伝わる」とユーモアを評価したUGCが多数挙がっています。

URBAN HACKS/エンジニア募集広告

  • 屋外広告の種類:交通広告
  • SNSの種類:X(旧Twitter)
  • 掲出場所:東急線各線の車内
  • 掲出時期:2023年

東急グループのデジタル技術による街づくりプロジェクト「URBAN HACKS」は、東急線各線の車内にエンジニア募集の広告を掲出しました。

一見すると普通の人材募集広告ですが、左下にプロンプト、そして左上には「Generated by Midjourney」の一文が。つまり広告のクリエイティブは画像生成AIで作られていたということが、じっくり見るとわかる仕様になっています。

単にAI画像を活用するのではなく、AI生成のプロセスそのものを広告にすることで、“分かる人(=ターゲット層)には分かる”クリエイティブに。こうした斬新な広告は、新たなイノベーションを生み出すことをミッションとする「URBAN HACKS」のコンセプトにも合致しており、SNSでも好意的なUGCが多数発生していました。

芥見下々『呪術廻戦』展

  • 屋外広告の種類:交通広告
  • SNSの種類:X(旧Twitter)
  • 掲出場所:渋谷駅地下通路 渋谷駅道玄坂ハッピーボード
  • 掲出時期:2024年6月〜

人気漫画「呪術廻戦」が、2024年7月から8月にかけて渋谷ヒカリエにて「芥見下々『呪術廻戦』展」を開催。それに先立ち、渋谷駅地下通路の渋谷駅道玄坂ハッピーボードには、巨大サイズの広告が掲出されました。

イベントの開催期間中、広告は週替わりでラフ〜下書き〜完成へデザインが変わる仕組みになっており、ワクワク感と“今しか見れない特別感”を演出しています。また、ラフから始まりゆっくりと完成していくその過程自体が、作品の「創作秘話」を解き明かすという展示会の趣旨にも合致していると言えるでしょう。

通勤通学などで毎日多くの人が一定時刻に接触するというOOHの性質を活かした広告で、SNSでは広告の経過を報告するUGCが多数発生していました。

株式会社ビーケージャパンホールディングス/バーガーキング

  • 屋外広告の種類:街頭広告
  • SNSの種類:X(旧Twitter)
  • 掲出場所:渋谷センター街
  • 掲出時期:2023年3月〜

大手ハンバーガーチェーン「バーガーキング」は、東京・渋谷センター街に新商品の「BigBet(ビッグベット)」の看板を掲出しました。

一見普通の看板ですが、外から見ているとロゴやバーガーが少し歪んでいることに気づきます。 しかしその歪みは、看板が掲出されているちょうど“真正面”にあるマクドナルド店内から見ると解消され、ハッキリ見えるということが、SNSユーザーの投稿によって明らかに。

この攻めたトリックと、「正面から大勝負!」というコピーからじわじわと感じられる広告の意図に、SNSでは「面白い」「考えた人のセンス天才過ぎる」と話題を呼びました。日本のみならず海外でも反響を呼んだ事例です。

ノーベル製菓株式会社/俺のミルク

  • 屋外広告の種類:交通広告
  • SNSの種類:X(旧Twitter)
  • 掲出場所:新宿駅 地下通路
  • 掲出時期:2023年11月

ノーベル製菓株式会社は、同社のミルクキャンデー「俺のミルク」の広告を、新宿駅の地下通路で展開しました。

以前から一定の認知を獲得していた「俺のミルク」ですが、そのインパクトのある商品名やパッケージにより、偏ったイメージを持たれていることが課題でした。

そこで10代~60代の男女1000人に調査をおこなったところ、同商品の購入経験者は全体の10%以下で、競合他社製品と比べ購入率が圧倒的に低いことが判明。また、パッケージやネーミングなどのイメージも聴取すると、「味が雑そう」「なんかいや」といった辛辣なコメントが。しかし、商品名やパッケージを伏せて同商品を食べてもらう調査も併せておこなったところ、「おいしい」と回答した割合は92%にも上り、イメージ調査とは大きく異なる結果に。

広告では、これらの「俺のミルクのイメージ」と「商品名を伏せて食べてもらった時の感想」の結果を対比したデザインになっていますが、ネガティブな調査結果や辛辣なコメントもあえて包み隠さず公開することで、SNSでは好意的な反応が寄せられました。

SNSで話題化するOOHのポイント

ユーザー起点の発見

UGCを生成するコンテンツ作りのコツでもありますが、OOHでは、つい誰かに言いたくなる「!」(発見・驚き)やつい反応したくなる・つっこみたくなってしまう“余白”を取り入れ、第三者に発見・発信してもらうことがポイントとなります。あえて企業から多くは語らないことで、気づいた人の優越感がSNSでの拡散を生むのです。

弊社が担当した、アース製薬株式会社の重炭酸入浴剤「BARTH」のOOHも、「入浴剤の下にメッセージがある!」「自分の投稿した写真が掲出されている!」「遠くから見ると太文字の隠しメッセージがある!」といった発見や驚きが話題化に繋がりました。

UGC(口コミ)を起こしたくなるユーザー起点の発見:広告の工夫

テテマーチ事例|アース製薬株式会社 / BARTH「泥睡しよう」キャンペーン

■ Detail

重炭酸入浴剤BARTHの「眠れる入浴剤」というイメージを広く定着させるため、SNS・Webサイト・OOH(屋外広告)を活用したプロモーションを実施。
「泥睡」をキーワードとして、寝顔を集めるフォトコンテストキャンペーンを企画し、「募集期間」と「発表期間」の2つのフェーズで進行した。
募集期間にはSNS、広告、インフルエンサーの起用、屋外広告で告知。
屋外広告は「寝顔だらけの広告がつくりたい」というメッセージや広告自体に入浴剤を貼り付け、剥がして持ち帰ることができるピールオフ広告という手法を採用するなど、話題化する仕掛けを詰め込んだ。
発表期間にはキャンペーンに採用された124名の寝顔写真を並べた屋外広告を「泥睡しよう」というメッセージと共に掲出。
「眠れる入浴剤」というBARTHのイメージ定着を狙った本プロモーションには約3500件以上の寝顔写真が集まり、大きな話題を生んだ。

場所・時期の限定性

前述した「ユーザー起点の発見」とも関連しますが、掲出場所・掲出時期が限定されるOOHの性質を最大限活かし“特別感”を演出することで、撮影しSNSでシェアするモチベーションを刺激することもポイントです。

「BARTH」のOOHではこの点を意識し、募集期間と発表期間の2つのフェーズで進行していました。

前者では「寝顔だらけの広告がつくりたい」というコピーのもと、広告担当者の熱い想いが記載された広告を掲出し、寝顔の広告モデルを募集。後者では、寝顔が集まった状態の“完成版の広告”を掲出。

このように、広告を2つのフェーズによって変化させることで生まれる特別感やストーリー性が、成功のポイントになったと言えるでしょう。

UGC(口コミ)を起こしたくなるユーザー起点の発見:掲出場所・時期の限定性

まとめ

本記事では、SNS×OOHの有効性や、話題化につなげる具体的なポイントについてお伝えしました。

企業でなくとも、個人個人の発信が大きな影響力を持つようになったSNS時代、一個人の「発信したい!」気持ちに寄り添った広告にシフトしていく必要があります。

ぜひ本記事を、新たなプロモーションのヒントにご活用ください。

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SNS×OOHの広告戦略。略話題化のカギはユーザ起点の発見

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