買回品購入者は「UGC」を最も参考に。購買フェーズによって変わる検索ニーズを解明|購買行動調査②

買回品購入者は「UGC」を最も参考に。購買フェーズによって変わる検索ニーズを解明|購買行動調査②

Instagramの影響力は急速に拡大し、消費者の情報収集や購買行動に大きな変化をもたらしています。特にファッションやコスメ、食品など、日常的に使用する商品・サービスにおいては、多くの消費者がInstagramの情報を参考にしています。

一方で、いわゆる「買回品」と呼ばれるような高価格帯の商品・サービスに関しては、Instagramが購買行動にどのような影響を与えているのか、あまり明らかにされてきませんでした。

そこでサキダチラボでは、Instagramが高価格商品の購買行動に与える影響の実態を明らかにするため、10万円以上の商品・サービスを購入したことがある消費者を対象にアンケート調査を実施しました。

第1回は、高価格商品購入者とInstagramの利用頻度との関係性について紐解きました。

第2回となる本記事では、Instagramの情報を参考にして高価格商品を購入した人は、Instagramで「どのような投稿」を見て、「どのような検索行動」をしているのかを紐解いていきます。


調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:一般消費者
    • 性別:男女
    • 年齢:15歳~59歳
    • 地域:全国
    • サンプル種別:過去5年以内にInstagramの情報を参考にして10万円以上の金額の商品・サービスを購入したことがある方
  • 調査期間:2024年5月17日〜2024年5月18日
  • 有効回答数:281サンプル

※調査結果を引用・転載される際は、「テテマーチ調べ」と出典を明記してください
※調査内容の一部または全部を改変して引用・転載することはお控えください

調査結果サマリー

  1. 高価格商品購入者がInstagramで最も参考にしたのは「知り合いではない一般人」のアカウント(53.4%)
  2. 購買行動のフェーズによって参考にするアカウントは異なる
  3. 高価格商品購入者がInstagramで最も閲覧したのは「リール」タブ(44.5%)
  4. Instagramでの情報収集時、最も検索するキーワードは「商品・サービスのジャンル名」(62.6%)
  5. Instagramでの検索後、24.4%が商品・サービスの購入を経験
  6. Instagramで情報収集した商品の購入経路はプロフィールURL経由が最多(39.9%)

調査結果

高価格商品購入者がInstagramで最も参考にしたのは「知り合いではない一般人」のアカウント(53.4%)

Instagramの情報を参考にして10万円以上の商品・サービスを購入したことがある全国15〜59歳の回答者281名に対して、Instagramではどのようなアカウントの情報を参考にしたのかを尋ねました。

その結果、「知り合いではない一般人」が最も多く、53.4%でした。次いで「企業・ブランドの公式アカウント」が38.8%「有名人・インフルエンサー」が38.4%と続きました。

Q. 購入時に参考にしたInstagramアカウントとして、あてはまるものをすべて選んでください。【複数回答可】(n=281)

高価格商品購入者がInstagramで最も参考にしたのは「知り合いではない一般人」のアカウント(53.4%)

高価な買い物では「失敗したくない」という心理が強く働くため、忖度のない生活者からのリアルな評価や体験談を参考にしていることがうかがえます。

購買行動のフェーズによって参考にするアカウントは異なる

次に、Instagramで参考にしたアカウントは、購買行動におけるどのフェーズで閲覧したのかを尋ねました。

本調査では、購買行動プロセスを【新しい商品・サービスを見つける / 知る】タイミング、【気になる商品・サービスの情報を集める】タイミング、【商品・サービスを購入するかどうかを検討する】タイミングという3つのフェーズに分けて分析しています。

Instagramの情報に触れたタイミング × 参考にしたアカウント(n=281)

購買行動のフェーズによって参考にするアカウントは異なる
※「Instagramの情報に触れたタイミング」を母数として、割合を算出しています
※複数回答のため、構成比の合計が100%を超えています

その結果、Instagramで参考にされるアカウントは、購買行動のフェーズによって異なるという傾向が見られました。

  • 認知(新しい商品・サービスを見つける / 知る)フェーズ:「知り合いではない一般人」のアカウントが最も参考にされている
  • 情報収集(気になる商品・サービスの情報を集める)フェーズ:「知り合いではない一般人」のアカウントが最も参考にされている
  • 比較検討(商品・サービスを購入するかどうかを検討する)フェーズ:「企業・ブランドの公式」アカウントが最も参考にされている

この傾向をまとめると、以下のように購買行動プロセスを整理することができます。

SNSを通したコミュニケーションでは、消費者の購買行動プロセスとフェーズごとの心理状態や行動を理解し、それぞれのフェーズに最適な情報を提供できるようなコンテンツ設計が重要です。

最近ではアルゴリズムの影響によって、自身がフォローしていないアカウントの投稿も「おすすめ」として表示される機会が増加し、これまで以上に潜在顧客へもリーチしやすくなりました。

ただし、買回品の場合は、Instagramで情報に触れる前から何らかの購買意欲を持っていることが多いと考えられます。良い認知形成のために、ブランドの理念や取り組みを発信することで共感を呼んだり(情緒的価値)、いまの生活の延長線上に商品を取り入れた後の体験を想像させたり(機能的価値)できるようなコンテンツ制作を意識しましょう。

高価格商品購入者がInstagramで最も閲覧したのは「リール」タブ(44.5%)

続いて、Instagramで参考にした情報は、どの画面で閲覧したかを尋ねました。

その結果、【1位:リールタブ(44.5%)】【2位:フィード(41.6%)】【3位:ストーリーズ(40.2%)】と続き、上位は非常に僅差となりました。

Q. 購入時に参考にした情報は、Instagramのどの画面で見ましたか。あてはまるものをすべて選んでください。【複数回答可】(n=281)

高価格商品購入者がInstagramで最も閲覧したのは「リール」タブ(44.5%)

Instagramのアカウント運用においては、特定の投稿形式に偏ることなく、コンテンツのバランスを考慮しながら予算やリソースを適切に配分しましょう。

3つの主要な投稿形式である「フィード」「リール」「ストーリーズ」それぞれの特性と活用例は以下の通りです。

  • フィード(カルーセルを含む):複数枚の静止画や動画を組み合わせることで、商品の詳細説明やブランドの世界観を表現するのに適している
  • リール:短尺動画によって視覚的に情報を届けることができ、商品の使い方や活用シーン、生活に取り入れた後の体験を想像させるのに適している
  • ストーリーズ:24時間で消える特性を活かしたリアルタイム性のある情報発信や、アンケート・質問箱などを活用したユーザーとのインタラクティブなコミュニケーションに適している

Instagramでの情報収集時、最も検索するキーワードは「商品・サービスのジャンル名」(62.6%)

前回の記事にて、高価格商品の購入前にInstagramの情報を参考にしている人ほど、Instagramにおける検索頻度が高いことが明らかになりました。

今回は、その検索行動について具体的に掘り下げていきましょう。

Instagramで検索行動をしたことがある回答者に、よく検索するキーワードの種類を尋ねたところ、【1位:商品・サービスのジャンル名(62.6%)】【2位:ブランド名(54.9%)】【3位:具体的な商品・サービス名(48.8%)】という結果となりました。

Q. Instagramで検索する際に、よく入力するキーワードの種類をすべて選んでください。【複数回答可】(n=246)

Instagramでの情報収集時、最も検索するキーワードは「商品・サービスのジャンル名」(62.6%)

次に、そのキーワードはどのようなタイミングで検索したのかを尋ねました。

Instagramの情報に触れたタイミング × 検索したキーワードの種類(n=246)

Instagramでの情報収集時、最も検索するキーワードは「商品・サービスのジャンル名」(62.6%)
※「Instagramの情報に触れたタイミング」を母数として、割合を算出しています
※複数回答のため、構成比の合計が100%を超えています

その結果、購買フェーズが進むにつれて、以下のように検索キーワードが変化していくことがわかりました。

  • 認知(新しい商品・サービスを見つける / 知る)フェーズ:「商品・サービスのジャンル名」による検索が多い
  • 情報収集(気になる商品・サービスの情報を集める)フェーズ:「ブランド名」による検索が多い
  • 比較検討(商品・サービスを購入するかどうかを検討する)フェーズ:「具体的な商品・サービス名」による検索が多い

このことからも、消費者が求めている情報に合わせて、コミュニケーションを変えていく必要があると言えるでしょう。

認知フェーズでは、情緒的価値が重要視されるため、特定ジャンルの中から自社の商品・サービスに興味を持ってもらえるように、視覚的にインパクトのあるリール投稿で購買意欲を刺激するのが適しています。

比較検討フェーズに入ると、消費者はより機能的価値を重要視するようになるため、商品・サービスの詳細を投稿キャプション内に盛り込むとともに、具体的かつ専門的な情報をフィード投稿にまとめておくと良いでしょう。

Instagramでの検索後、24.4%が商品・サービスの購入を経験

Instagramで何らかの検索経験がある回答者に対して、検索後の行動について尋ねました。

その結果、【1位:投稿をいいね(58.5%)】【2位:投稿を保存(47.2%)】【3位:アカウントフォロー(41.5%)】の順となりました。

Q. Instagramでの検索後、あなたが行なったことのある行動をすべて選んでください。【複数回答可】(n=246)

Instagramでの検索後、24.4%が商品・サービスの購入を経験

注目すべきは、回答者の98.8%がInstagramでの検索後に何らかのアクションを取っているという点です。具体的には、「保存」は関心のある情報を後から見返すため、「フォロー」はそのアカウントの情報を継続的に受け取るための行動であると考えられます。

また、「商品・サービスを購入」した回答者は24.4%にとどまりますが、Instagramが購買行動に直接的な影響を与えうることを示しています。

Instagramで情報収集した商品の購入経路はプロフィールURL経由が最多(39.9%)

最後に、Instagramの情報を参考にして購入した商品・サービスは、どのような経路で購入したかを尋ねました。

その結果、「InstagramのプロフィールURL経由で購入」39.9%、「InstagramのストーリーズURL経由で購入」33.5%と、InstagramからECサイトなどに直接遷移して購入されるケースが多いことが明らかになりました。

Q. Instagramの情報を参考にして購入した商品・サービスはどのような経路で購入しましたか。あてはまるものをすべて選んでください。【複数回答可】(n=281)

Instagramで情報収集した商品の購入経路はプロフィールURL経由が最多(39.9%)

Instagramのプロフィールやストーリーズに設置されたURLは、高価格商品においても、ECサイトや申し込みページへの導線として機能しており、顧客の購買をサポートしていることがわかりました。

まとめ

サキダチラボ マネージャー 上市 愛

サキダチラボ 所長
上市 愛(かみいち めぐ)

今回の調査では、Instagramの情報を参考にして高価格帯の商品・サービスを購入した人が、Instagram上でどのような行動を取っているのかを明らかにしました。最も参考にされているのは、「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」とも呼ばれる「知り合いではない一般人」のアカウントでした。これは、企業が意図的に作った情報ではなく、生活者によるリアルな評価や体験談が信頼と共感を呼ぶからだと考えられます。

また、購買行動のフェーズが進むにつれて、参考にするアカウントや検索キーワードが変化していくことも確認できました。

マーケティング担当者は、消費者が求めている情報に合わせて、コミュニケーションを変えていく必要があると言えるでしょう。情報収集している消費者にとって意味のあるコンテンツを作り続けることで、1コンテンツの重要度も増してくるはずです。テテマーチでは、そのようなコンテンツ作りをサポートしています。


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次回は、Instagramが消費者の購買行動に与える影響を「高価格商品」と「低価格商品」で比較し、商品の価格帯による違いを紐解いていきます。

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