10万円以上の買回品購入者の58%は「Instagram」を参考に|購買行動調査①

10万円以上の買回品購入者の58%は「Instagram」を参考に|購買行動調査①

Instagramの影響力は急速に拡大し、消費者の情報収集や購買行動に大きな変化をもたらしています。特にファッションやコスメ、食品など、日常的に使用する商品・サービスにおいては、多くの消費者がInstagramの情報を参考にしています。

一方で、いわゆる「買回品」と呼ばれるような高価格帯の商品・サービスに関しては、Instagramが購買行動にどのような影響を与えているのか、あまり明らかにされてきませんでした。

そこでサキダチラボでは、Instagramが高価格商品の購買行動に与える影響の実態を明らかにするため、10万円以上の商品・サービスを購入したことがある消費者を対象にアンケート調査を実施しました。


調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:一般消費者
    • 性別:男女
    • 年齢:15歳~59歳
    • 地域:全国
    • サンプル種別:過去5年以内に10万円以上の金額の商品・サービスを購入したことがある方
  • 調査期間:2024年5月17日〜2024年5月18日
  • 有効回答数:486サンプル

※調査結果を引用・転載される際は、「テテマーチ調べ」と出典を明記してください
※調査内容の一部または全部を改変して引用・転載することはお控えください

調査結果サマリー

  1. 高価格商品購入者の57.8%がInstagramの情報を参考にしている
  2. 「美容クリニック・エステサロン」の利用においては68.2%がInstagramの情報を参考にしている
  3. 高価格商品の購入前にInstagramを参考にしているのは若年女性に多い
  4. 高価格商品の購入前にInstagramを参考にしている人は相対的にInstagramの利用頻度が低い
  5. 高価格商品の購入前にInstagramを参考にしている人の75.7%が「企業アカウント」をフォローしている
  6. 高価格商品の購入前にInstagramを参考にしている人はInstagram内での検索頻度が高い

調査結果

高価格商品購入者の57.8%がInstagramの情報を参考にしている

10万円以上の商品・サービスを購入したことがある全国15〜59歳の回答者486名に対して、購入前にInstagramを利用して関連情報を参考にしたかを尋ねました。

その結果、57.8%の回答者が商品・サービスを購入する前に、Instagramの情報を参考にしたと回答しました。

Q. 10万円以上の商品・サービスを購入する前に、Instagramを利用して関連情報を参考にしましたか。(n=486)

「美容クリニック・エステサロン」の利用においては68.2%がInstagramの情報を参考にしている

次に、Instagramの情報を参考にして購入した10万円以上の商品・サービスのジャンルを尋ねました。

購入者全体に占めるInstagramを参考にした回答者の割合が高いジャンルは【1位:美容クリニック・エステサロン(68.2%)】【2位:家具・インテリア(60.9%)】【3位:ウェディング・ブライダル(60.8%)】と続き、ビジュアルやデザイン性を重要視した項目が上位に並びました。 

Q. Instagramの情報を参考にして購入した10万円以上の商品・サービスのジャンルとして、あてはまるものをすべてお答えください。【複数回答可】(n=281)

※前問「過去5年以内に購入した10万円以上の商品・サービスのジャンルをすべてお答えください。【複数回答可】」の回答数を母数として、割合を算出しています

高価格商品の購入前にInstagramを参考にしているのは若年女性に多い

高価な買い物の際にInstagramの情報を参考にしている人は、どのような属性を持つのでしょうか。

10万円以上の商品・サービスを購入する前にInstagramを参考にしたかどうかを性別ごとに集計した結果、女性の64.2%、男性の51.6%がInstagramを参考にしていました。

Q. あなたの性別を教えてください。(n=486)

次に、年代ごとに回答を集計しました。

10〜30代では、高価格商品の購入前にInstagramを参考にした回答者が過半数を占め、なかでも10〜20代の8割以上がInstagramを参考にしています。

これらの年代は、InstagramなどのSNSが日常生活に深く根付いており、高価な買い物の際にもInstagramを主要な情報源として活用していることがわかります。

Q. あなたの年代を教えてください。(n=486)

以上の結果から、性別、年代ごとのSNS利用習慣や情報収集手段の違いが読み取れます。

マーケティング担当者は、こうしたユーザー属性ごとの傾向を踏まえて、最適なチャネル選定やコミュニケーション方法を検討することが重要です。

高価格商品の購入前にInstagramを参考にしている人は相対的にInstagramの利用頻度が低い

高価な買い物の際にInstagramの情報を参考にしている人は、普段からInstagramをよく利用しているのでしょうか。アンケートの回答者に対して、Instagramの利用頻度について尋ねたところ、意外な結果となりました。

10万円以上の商品・サービスを購入したことのある回答者を、【購入前にInstagramを参考にした】グループと【購入前にInstagramを参考にしなかった】グループに分けたところ、後者の方がInstagramの利用頻度が高いという傾向が見られました。

Q. あなたは普段、Instagramをどのくらいの頻度で利用しますか。(n=390)

※現在時点でInstagramを利用していない回答者は集計対象外としています

一般的に、Instagramの利用頻度が高いほど、商品・サービスと偶発的に接触する機会が増えると考えられます。しかし、今回の調査結果からは、Instagramの利用頻度と購買行動には直接的な関係がないことが示唆されました。

もっとも、Instagramは商品購入時の情報収集ツールである以前に、「暇つぶし」や「余暇時間の楽しみ」として広く利用されています。利用者の多くは、能動的に情報を探しているというよりは、流れてくるコンテンツを受動的に楽しんでいます。

そのため、広告などで一時的に商品の魅力を訴求するだけでは、消費者の購買意欲を高めることは難しいでしょう。むしろ、中長期的なコミュニケーションを通じて、段階的に消費者との関係値を構築していくのが適しています。

特に、高価格帯の商品・サービスの場合、購入までの検討期間が長くなる傾向があるため、消費者との接触頻度が限られたとしても、アカウント運用をおこなう価値は十分にあります。重要なのは、1回1回のタッチポイントの質を高め、記憶に残る体験を設計することです。

  • 有益で価値のある情報がアカウントに詰まっていて、思わず一気見してしまう
  • プロ目線の解説や視聴者への質問回答を含むライブ配信のアーカイブが残っていて、繰り返し見たくなる
  • 既存顧客からの生の声や、実際の利用シーンが伝わる質の高い口コミが投稿されていて、時間をかけて読み込みたくなる

このような仕組みを作れているか、自社のInstagram運用を見直してみてはいかがでしょうか。

高価格商品の購入前にInstagramを参考にしている人の75.7%が「企業アカウント」をフォローしている

次に、高価な買い物の際にInstagramの情報を参考にしている人は、普段から企業が発信する情報に触れているのかを探ってみましょう。

アンケート回答者に、Instagramにおける「企業・ブランド公式アカウント」のフォロー状況を尋ねたところ、【購入前にInstagramを参考にした】グループの75.7%が企業・ブランドの公式アカウントをフォローしているのに対し、【購入前にInstagramを参考にしなかった】グループでは43.3%にとどまり、大きな差が見られました。

Q. Instagramで企業・ブランドの公式アカウントをフォローしていますか。(n=390)

※現在時点でInstagramを利用していない回答者は集計対象外としています
※ここでの「企業・ブランドの公式アカウント」は、購入した商品の公式アカウントに限定されません

この結果から、企業・ブランドの公式アカウントが高価格商品の購買行動に影響を与えている可能性が高いことが示唆されました。消費者は需要が顕在化した後、公式アカウントをフォローして情報に触れることで購買意欲が高まり、最終的に購買に至るケースがあると推察されます。

高価格商品の購入前にInstagramを参考にしている人はInstagram内での検索頻度が高い

最後に、Instagramでの検索頻度についての回答結果を見てみましょう。

【購入前にInstagramを参考にした】グループは、「月に2〜3回程度」以上の検索利用が過半数を占めている一方で、【購入前にInstagramを参考にしなかった】グループでは、「ほとんど使わない」という回答者が43.9%と最も多い結果となりました。

Q. Instagramの検索機能はどのくらい使いますか。(n=390)

高価格商品の購入前にInstagramの情報を参考にしている人ほど、Instagramの検索機能をたくさん利用し、能動的に商品やブランドに関する情報、口コミなどを調べて、購買決定に必要な情報を集めていると考えられます。

まとめ

サキダチラボ 所長
上市 愛(かみいち めぐ)

今回の調査により、Instagramは高価格帯の商品・サービスの購買行動においても重要な役割を果たしていることが明らかになりました。特に、ビジュアルやデザイン性が重要視される分野では、その影響力が顕著です。

また、企業やブランドの公式アカウントが、専門知識に基づいた信頼性の高い情報源として機能していることも読み取れました。

一方で、Instagramは「暇つぶし」や「余暇時間の楽しみ」として利用されることが多く、利用頻度が高いからといって購買行動に直結するわけではないことが示唆されています。高価格帯の商品・サービスの場合、短期的なコミュニケーションでは消費者の購買意欲を高めることは難しく、中長期的なコミュニケーションによって段階的に消費者との関係値を構築していくのが適していると考えられます。

企業やブランドのマーケティング担当者は、アカウント運用を通じて顧客の記憶に残るような体験を設計できるかが重要です。フォロワーを単なる消費者として捉えるのではなく、ともにブランド価値を高めていくパートナーとして、共創的な関係を築いていくことを目指しましょう。


次回は、Instagramの情報を参考にして高価格帯の商品・サービスを購入した人は、Instagramで「どのような投稿」を見て、「どのような検索行動」をしているのかを明らかにしていきます。

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