「推し消費」から紐解くZ世代マーケティングと成功事例
Date : 2023/10/20
本記事では、Z世代が夢中になる「推し活」や「推し消費」の切り口からZ世代の消費行動やマーケティング施策への活かし方をご紹介します。
「Z世代マーケに取り組みたいが、彼らが興味を持つことが分からない」「Z世代から注目されるプロモーション企画を考えたい!」等のお悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事で分かること
- Z世代の推し消費に注目すべき理由
- 推し活がもたらすZ世代の消費行動への影響
- 3つの成功事例から分かる推し活マーケティングのポイント
Z世代の消費行動に関連したお役立ち資料は下記からご覧いただけます。
お気軽にダウンロードくださいませ
本資料は、Z世代400名を対象に商品を認知してから購入、シェアするまでの各フェーズの利用率を11の媒体で調査し、Z世代の消費行動を定量的視点でまとめています。
Z世代マーケティング戦略を考えるヒントとしてぜひお役立てください。
近年「推し活」に夢中になるZ世代が増えています。しかし、この現象は単なるファンとしての活動を超え、マーケティング戦略で意識され始めています。
SNSやクラウドファンディングの普及により、推しのグッズ購入やライブ参戦だけでなく、誕生日や記念日に応援広告(センイル広告)を出すなど活動の幅が広がっています。一時期話題となった事例として、12月30日にBTSのテテ(V)の誕生日を記念したドバイの高層ビルでの噴水ショーが挙げられます。この一件で、韓国アイドルとして史上最高の12億ウォン(約1億800万円)という募金額を記録し、世界中から注目を集めました。
このように「推し消費」は、Z世代の消費行動として一般的になっており、企業やマーケターにとって無視できないものとなっています。
5人に1人が行う推し活とは?
推し活とは、特定のアイドル、アーティスト、キャラクター、俳優など熱烈に支持する(推す)行動を指します。
パナソニックの5,131人を対象とした「推し活」に関する調査によると、約5人に1人が「現在推し活をしている(21.8%)」と回答しており、推し活という言葉が一般的になってきていることがわかります。
また、具体的な活動としては、公式SNSのチェックや映画鑑賞、コンサートやイベントへの参加、ファン同士のSNSチェックなどがありますが、活動内容として最も多かったのは、公式SNSのチェック(68.4%)です。InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなど公式SNSからの投稿が増え、多様な接触ポイントを通じて推しの情報を日常的に享受していることがわかります。
過去、推しに対する応援活動、通称「推し活」は、コンサートに行く、グッズを購入する、ファンクラブに入るなど、物理的な行動が主でした。しかし、SNSの普及により、推しに対する応援が多角的に、そして手軽に行えるようになり、X(旧Twitter)やInstagramで推しの最新情報をキャッチしたり、自分自身が感じた推しに対する感想や応援メッセージを投稿することが一般的になってきました。
このように、SNSのコミュニケーション機会の増加は、Z世代が「推し活」を行う上で重要な要素となっています。
この世代にとって、SNSは友達や家族とのコミュニケーション手段であるだけでなく、自分の「推し」に対する情報収集やコミュニケーションの場ともなっています。
「推し活」の消費行動への影響
約1,171億円に上る「推し活」市場
「コンテンツファン消費行動調査2021」によると、推し活の推定市場規模は約1,171億円に上るといわれています。また、「好きなアイドルの推し活」への平均支出金額は21,771円と収入がそこまで多くないZ世代でも大きく投資をしていることが分かります。
推し活をしている人を見てみると、 圧倒的に女性の10-20代比率が高く、推し活層の37.4%を占めています。 また、支出金額が高額になるにも関わらず、職業別の割合では会社員(35.5%)の次に高いのは学生(27.1%)となっており、推し活に対するZ世代の熱量の高さが伺えます。
彼らの消費行動の中で推し活は非常に優先度高く位置付けられていると言えるのではないでしょうか。
日用品の購入にも影響するZ世代の推し活
Z世代の推し活消費(以下、推し消費)は、イベントやライブへの参加、グッズ購入にとどまりません。SHIBUYA109 lab.が行ったZ世代のヲタ活に関する意識調査では「推し活や推しがきっかけでお金をつかったことがあるもの」に対して、公式のグッズやライブ以外に、推しのイメージカラーアイテムや推しが使用する香水や小物、ファンションを購入するという結果が出ています。
このように、公式グッズやイベントチケット購入以外に、直接的に推しと関係ない日用品の購買にも影響しており、常に推しを意識して生活していることが伺えます。
では、このような日用品の購入は、推しの影響をどのように受けているのでしょうか。
同調査の中で「推しと同じアイテムや推しがおすすめしていたアイテムを購入する理由」に対しては、「推しを常に感じられる」と回答した方が50.6%。「推しと同じ感情を味わいたい/同じ体験がしたい」と回答した方が48.7%と高く、他の理由と大きく差をつけています。
これはイベントやライブへの参加のみだとその瞬間の体験にとどまるフロー型志向と比較して、 日常的に”推しのこと考えている時間・感じている時間”をつくるストック型志向であると考えられます。 彼らは推しに触れている状態を定常化する消費行動をとることで幸福度を高めようとしているのではないでしょうか。
<関連記事>
・Z世代マーケティングとは?新消費行動モデルEIEEBと事例で解説
・3000件の調査データから見るZ世代の商品選びの特徴と世代比較
・Z世代マーケティングでおさえるべき消費行動の特徴と成功事例
推し消費を活用したマーケティング事例
①株式会社サンリオ:「#推しのいる生活」から商品プロモーションへ誘導
「推し」の文脈を効果的に活用してブランドの人気を高めている企業として、サンリオが挙げられます。サンリオは、多様な特徴を持つキャラクターを用いて、豊富なカラーバリエーションのグッズを展開しています。公式オンラインショップでは、「#推しのいる生活」というテーマに基づき、“推しキャラ”や“推し色”に沿った商品導線を設定しています。
販売実績も非常に好調で、2021年5月時点での累計出荷数は220万個を突破し、出荷上代は16億円を超えています。
さらに、WEBやサンリオの店舗での投票によって順位を決定する「サンリオキャラクター大賞」の2021年度大会では、「サンリオ推しキャラコーデ Instagram投稿キャンペーン」を展開。このキャンペーンにより、推しのキャラクターグッズを身につけたファンの写真が多数投稿されました。
②エスビー食品株式会社:「キミの推しスパは!?」キャンぺーンでトレンド入り
エスビー食品が展開した「キミの推しスパは!?」というキャンペーンでは、グローバルボーイズグループ「INI」をメインキャラクターとして起用しました。このキャンペーンは、同社の人気商品「まぜるだけのスパゲッティソース」シリーズのプロモーションを目的としています。
プロモーションの形式は、INIの11人のメンバーがそれぞれの「推しスパ(好きなパスタソース)」を紹介。テレビCMの放送、ブランドサイトの公開、Twitterキャンペーン、そしてメンバーの写真がデザインされたコラボパッケージ商品の限定販売など、多角的な施策が展開されています。
さらに、このコラボレーションに関連する「#エスビーまぜスパ」「#アンバサダーはINI」といったハッシュタグが、X(旧:Twitter)キャンペーン実施前からトレンド入りするなど、熱狂的なファンを味方につけて話題を集める成功例となっています。
③ロクシタンジャポン株式会社:メンバー個性を生かしたカスタマイズ商品で話題に
アイドルグループ「Snow Man」が主演した映画「おそ松さん」とコラボしたキャンペーンを実施したのはロクシタンです。
ベストセラーの保湿バーム「シアバター」に、好きな色やメッセージを入れて、世界に一つだけの「シア」がつくれる人気のカスタマイズ製品「マイシア」のリニューアルに伴って行われたこのキャンペーン。個性豊かな6人のキャラクターが人気の「おそ松さん」に、自分の個性を反映させられる商品である「マイシア」のコンセプトと重ねた企画となっています。
また、推し活ではカスタマイズ製品に推しの要素(イメージカラーやイニシャルなど)を入れた商品を作って購入する行動も取られることから、推し活との相性も良い製品となっています。 このように商品コンセプトをうまく活かしながらファンの心理を捉え、たくさんのファンを抱える存在とコラボしたことで話題化している事例です。
まとめ
本記事では、「推し消費」の視点でZ世代の消費行動や企業が取り組むZ世代マーケティングや事例をご紹介しました。Z世代は新しいトレンドや価値観の形成に影響力を持ち、デジタルネイティブとして多様な消費行動を展開しています。
この世代を無視すると、未来の市場での成功を逃すリスクが高まってしまう可能性もあるため、 Z世代マーケティングの成功には、彼らの特性を理解し、それに合わせた戦略が必要です。
自社のマーケティング活動の効果を最大化するためにも、本記事の内容を参考にしてみてください。
本記事に関連する資料も無料で配布しております。ご興味ある方はぜひ下記よりダウンロードください。
『Z世代400名に聞いた商品購入までのステップ~心を動かすコンテンツとは~』
本資料は、Z世代400名を対象に商品を認知してから購入、シェアするまでの各フェーズの利用率を11の媒体で調査し、Z世代の消費行動を定量的視点でまとめています。
Z世代マーケティング戦略を考えるヒントとしてぜひお役立てください。