【データで読み解く】Instagram投稿が伸び悩む理由はAIアルゴリズムへの移行に?
Date : 2026/01/09
「最近、リールを出しても伸びない」「フォロワー外へのリーチが落ちた気がする」──。
Instagram運用で、そんな“伸び悩み”を感じている担当者は多いのではないでしょうか。
実は今、Instagramのおすすめ配信はAI活用が進み、投稿の広がり方そのものが変わりつつあります。結果として、広く浅い一般論よりも、主語が明確で“特定の誰か”に刺さるパーソナライズされた内容のほうが評価されやすい傾向が強まっているのです。
本記事では、テテマーチの研究チーム「サキダチラボ」が保有するInstagramビッグデータを元に、「何が起きているのか」を確認し、今企業アカウントが伸ばすために“どこを狭め、どう設計し直すべきか”を具体的に整理していきます。
まずは自社の数値で「今何が起きているか」を把握しませんか?
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目次
リールを投稿しておけばリーチが取れる時代の終わり
近年、Instagram運用においてはリールを起点とすることが“勝ち筋”とされてきました。実際、リールはフォロワー外へのリーチに優れ、フィード投稿よりも高いリーチ数を確保しやすい状況が続いています。
しかし今は、同じようにリールを出していても成果が安定しないケースが増えています。
「原因が分からないまま、リーチだけが落ちていく」、そんな状態に陥っている担当者も少なくありません。
ここからは、この変化を“感覚”ではなく“数字”で捉え直します。
まずはリール・フィード・ストーリーズの平均リーチが、いつ・どの程度変わったのかをデータで確認していきましょう。
平均リーチの低迷
以下は、テテマーチが運営するInstagram分析ツール「SINIS(サイニス)」に登録されたアカウントから取得した、Instagramの投稿形式ごとのリーチ数(1投稿あたりの平均値)の推移です。

データ(2020年1月〜2025年11月)を見ると、2020〜2022年にかけてリールの平均リーチは伸長し、フィードを大きく上回る水準で推移していました。
しかし2024年末ごろから伸びが鈍化し、2025年に入ってからは右肩下がりの動きが見えてきます。
さらに「直近でどれくらい落ちているのか?」を、2024年10月と2025年10月で比較したのが以下です。

ここでは、リールの平均リーチ(1投稿あたり)が26,793 → 16,754と、約6割(-37%程度)まで低下しています。
一方で、フィードも10,202 → 7,882(約8割)と下がってはいるものの、落ち幅が大きいのはリール側です。ストーリーズは2,130 → 2,119で、ほぼ横ばいでした。
ここまでを整理すると、見えてくるポイントは2つ。
- 「フォーマットがリールである」だけでは、以前ほどリーチが担保されなくなってきた
- フィードも減少傾向にある一方、落ち幅が最も大きいのはリールであり、最優先で打ち手の見直しが求められている
もちろん、リール自体の重要性が下がったわけではありません。しかし「出すこと」ではなく「何を、誰に向けて言うか」が、以前よりも強く問われる局面に入っています。
Meta社の推奨システムの変化
では、なぜこの変化が起きているのでしょうか。
まず前提として、Instagramの「おすすめ」は以前から、いいね・保存・シェア・視聴完了・滞在時間といった“反応の予測”をもとに、ユーザーごとに並び順を最適化する仕組みで動いています。つまり、リーチの増減は投稿者側の工夫だけでなく、プラットフォームが「何を良い投稿とみなし、誰に届けるか」の設計に大きく左右されます。
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そして今、その設計が大きくアップデートされつつあります。背景にあるのが、Metaが進める推奨システムの再設計です。
Metaは2024年ごろより「推奨(レコメンド)を支えるAIの土台そのものを大きく作り替える」方針を明確化。報道では、リールのような短尺だけでなく、より広く“動画全体”を、単一の巨大AIモデルで推奨できるようにする構想が語られていました。(※)
またMetaの技術発信を見ても、Instagramのレコメンドはリール・フィード・ストーリーズといった“面”ごとに、複数レイヤー(候補抽出 → 初期ランキング → 最終ランキング)で最適化され、膨大なMLモデル群によって支えられていることが説明されています。
つまり近年起きているのは「アルゴリズムの微調整」というより、推奨の中枢(どのモデルで、どんな経路で、何を根拠に並べるか)を更新していく動きだと捉えるほうが実態に近い、ということでしょう。
さらに2025年11月には、広告領域ではあるものの、レコメンドの精度向上を目的とした“基盤モデル級”のAI(GEM)について技術が公開されています。GEMは、関連モデルの予測精度を底上げし、より適切に「関連性の高いものを届ける」ための中核として位置づけられています。
配信対象が広告かオーガニックかは別として、「巨大モデルで“関連性”の推定を高度化する」方向に投資が進んでいることは押さえておくべき変化でしょう。
※参考:Meta is building a giant AI model to power its ‘entire video ecosystem,’ exec says
レコメンドの軸が「反応」から「意味理解」へ
前述したようなレコメンドの精緻化・精度向上の流れが進むほど、投稿は「多くの人にウケるか」だけで評価されにくくなります。むしろ、「これは誰の、どんな状況の課題に刺さる情報か?」まで解像度高く判定され、届け先が選ばれやすくなります。
つまり「エンゲージメントや滞在時間などの“反応の強さ”を中心に推奨する仕組み」から、「コンテンツの中身(意味・文脈)も含めて理解し、より細かく最適化する仕組み」へ比重が移っているということです。
例えば同じ“美容”でも、「美容全般」ではなく「ニキビ」「洗顔」「毛穴」のように、テーマが具体化している投稿のほうが、関心が近い層へスムーズに届きやすいと言えるでしょう。
さらに、推奨の精度が上がるほど、“何を語るか”に加えて“誰が語るか”も同程度に重要です。
例えばテーマが「ニキビ」でも、「皮膚科勤務の看護師が語る」「敏感肌当事者が語る」「美容部員が語る」で、投稿の意味(前提・信頼性・適用範囲)が変わります。AIが内容の文脈を理解しやすくなるほど、「OOが語るOO」の構図で主語が立った投稿は“解釈のブレ”が減り、届け先が定まりやすくなるのです。
これまでのレコメンドとAIモデルのレコメンドとの違い
この変化を運用目線に落とすと、Instagram上での“勝ち筋”は次のようにおおまかに整理できます。
| これまでのレコメンド(反応中心) | AIモデルのレコメンド(意味理解+最適化) | |
| 何を元にレコメンド? | コンテンツのインサイトデータ (エンゲージメント・再生・保存などを中心に個別モデルで評価) | ユーザー行動+コンテンツ特徴(動画・テキスト・音声)を単一の巨大なAIモデルで統合的に理解 |
| 誰に届く? | そのカテゴリーに関心が高い人 | そのコンテンツを「今このタイミングで」必要とする可能性が高い人 |
| どんな投稿が伸びる? | 多くの人に広く当てにいく一般的な内容(最大公約数を狙う設計) | 特定の関心・課題・フェーズに強く適合する内容(結果としてニッチでも高く評価される) |
| 評価される基準は? | エンゲージメントや滞在時間の伸びるコンテンツか | その人にとって意味があり、行動につながる内容か |
| 成功の鍵は? | 「万人に嫌われないこと」(最大公約数を狙う) | 特定の人に「ちゃんと選ばれる」こと(嗜好・関係性・文脈への最適化) |
表で整理したように、推奨の軸が“最大公約数”から“関連性の一致”へ寄るほど、勝ち筋も変わります。薄く広くではなく、狭く深く。その企業だから発信できる視点で、特定の人に刺さるパーソナライズされたコンテンツが、より評価されやすいフェーズになっています。
今も伸びるコンテンツの特徴
ここからは、今後企業アカウントとして具体的にどのようなコンテンツ設計をおこなうべきなのかを探っていきます。
以下は、テテマーチが運営するInstagram分析ツール「SINIS(サイニス)」に登録されたアカウントから取得した、直近半年間(2025年4月〜2025年10月)の業界別リール平均値の推移と、半年間における月間平均リーチ数の変化を示したグラフです。


まず、半年間における月間平均リーチ数の変化を見ると、全体は64.6%と大きく落ち込んでいます。ところが同じ条件下でも、「妊娠・出産・育児」関連の投稿は132.6%、「ウエディング」関連の投稿は178.9%と、むしろ伸びているカテゴリが存在します。
一方で「住宅」関連は67.0%、「食品」関連は65.5%と、全体と同様に減少傾向です。
この差から読み取れるのは、“全体が落ちているから仕方ない”で終わらないということ。平均が下がる局面でも伸びているカテゴリがある以上、勝ち筋は「投稿形式」ではなく、コンテンツ設計(誰の、どんな状況に向けた投稿か)側に残っています。
では、伸びているカテゴリには何が共通しているのか。答えは以下の2点です。
- 主語が明確(誰の立場の、どんな状況の話かが一瞬で分かる)
- ターゲットにパーソナライズされている(大カテゴリではなく、状況・悩み・文脈まで絞って語っている)
妊娠・出産・育児は、ユーザー側のニーズが“状況別”に明確で、投稿側もそれに合わせてパーソナライズされた発信をおこなう文化が元々根づいているカテゴリ。実際SNS上では以前から、「育児」という大きな括りではなく「ワーママ」「知育ママ」「プレママ」「新生児ママ」のように、立場やフェーズを表す言葉が活発に使われてきました。
こうした言葉は投稿の主語を具体化し、内容も「誰のための情報か」をクリアにします。その結果、今回のように推奨の精度が上がる局面でも届け先が定まりやすく、影響を受けづらかった(むしろ追い風になった)と考えられます。
同様にウエディング業界も、準備フェーズ・悩み・シーンが細かく分かれやすく、「誰の何に効く情報か」を明確にしやすいカテゴリです。
これは育児・ウエディングに限った話ではありません。住宅や食品のように一見“広い”カテゴリでも、「主語」と「状況」を切り分けるだけで、いくらでもパーソナライズは可能です。
例えば、同じ「住宅」でも、
- 「家づくり」→「共働き × 未就学児 × 朝の家事動線で詰む人の間取り」
- 「収納」→「1LDK × 2人暮らし × 来客前に片付かない人の“見せない収納”」
同じ「食品」でも、
- 「時短レシピ」→「ワーママ × 平日19時 × 子どもが食べる“10分主菜”」
- 「ダイエット」→「在宅勤務 × 運動ゼロ × 間食が止まらない人の“置き換え”」
のように、言葉を一段深くするだけで「誰のための投稿か」が一気に鮮明になります。
ターゲットを広げるのではなく、“狭め方”を設計する。具体的には、企画の前に次の型で主語を固定します。
- [誰(属性・立場)]×[今の状況(フェーズ)]×[詰まり(悩み)]×[欲しいゴール]
そしてリールの冒頭(テロップ/ナレーション/1秒目)で、その主語を言い切る。
この「主語の先出し」と「状況の具体化」こそが、今のアルゴリズム下で“中身で選ばれる”ための最短ルートになります。
さらに、コンテンツをもう一段強くするなら、「誰が語る情報なのか(語り手主語)」までを明確にすること。
前述した「主語が明確」=“ターゲットを絞る”だけではありません。主語には2種類あります。
- ターゲット主語:誰向けか(例:ワーママ向け/プレママ向け)
- 語り手主語:誰が語るか(例:現場の販売員が語る/開発担当が語る/導入支援担当が語る)
今、より伸びやすいのは、この「ターゲット主語 × 語り手主語」がセットになった投稿です。例えば企業発信でも、
- 「SNS担当が語る“リールが伸びない時”の落とし穴」
- 「カスタマーサクセスが語る“導入後につまずくポイント”」
- 「開発が語る“この機能を作った理由”」
のように、「誰が語っている情報か」が冒頭で分かるだけで、情報が「一般論」から「具体的な一次情報」に寄り、コンテンツの力は強まっていきます。
まとめ
本記事では、リールの平均リーチが下がっている現状をデータで確認し、その背景にある「推奨システムのAI化(=内容理解の精度向上)」という構造変化を整理しました。
結論として、今伸びやすいのは「広く浅い一般論」ではなく、主語が明確で、状況・悩みまで絞り込んだ“個人に刺さる”コンテンツです。
リールの重要性が下がったわけではありません。問われているのは「出すこと」ではなく、何を、誰のどんな状況に向けて言い切るか。
まずは自社の投稿を「主語が立っているか」「“状況別の言葉”で切れているか」の観点で見直し、狙うターゲットの“狭め方”からコンテンツ設計を組み直していきましょう。
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