InstagramマーケターがChatGPTでアカウント分析レポート作成を自動化してみた
Date : 2025/06/25
「SINIS for Instagram」でマーケター兼データアナリストを務めています、清水です。
生成AIをSNSマーケティング関連の業務に活用するためのメソッドを研究・開発しています。
この記事では、SINIS for Instagramの「レポート自動作成機能」を使って出力した、Instagramアカウントの月次分析レポート(画像や数値は配置済みだが、考察は未記入のPowerPointファイル)の各ページに対して、考察テキストを自動入力する方法を詳細に解説します。
ChatGPTを活用して、Instagramアカウントの分析レポートを半自動で作成する方法に加えて、ChatGPTの仕組みや、生成AIを活用する際の注意点にも触れています。
特に、生成AIを活用してSNSマーケティング業務を効率化したい方におすすめの記事です。
目次
ChatGPTを使えば「Instagramアカウントの分析レポート作成」は既に半自動化できる
「ChatGPTって、ちょっとしたテキストライティングとか、企画や分析の手伝いとか、それくらいのことしかできないでしょ?」という認識のまま止まっている方も多いと思います。
確かに「GPT-4」が登場した2023年3月ごろは、その程度の能力しかありませんでした。
しかし2025年4月時点では、ChatGPTは大幅な進化を遂げています。
この記事で全貌をお伝えしますが、①複雑な画像やPDFを解析し、②それを踏まえた構造化された考察文を生成し、③それをPowerPointファイルに書き込む、という3ステップをすべて、ChatGPTは指示通りに実行可能です。
しかも、ChatGPT上で(出力の待ち時間も含めて)10分程度のやり取りをするだけで、です。

以下では、ChatGPTの潜在能力を引き出すための下準備や、プロンプトについて解説しています。
早くアウトプットを見たい!という方は【アウトプットされたPowerPointレポート】の章に飛んでください。
下準備①: モデルの選定
「推論モデル」と「GPTモデル」
ChatGPTには、大きく分けて「GPTモデル」と「推論モデル」があります。
2025年6月時点では、それぞれ以下のようなモデルがラインナップされています。
▼ GPTモデル
- GPT-4o
- GPT-4.5
- GPT-4.1
- GPT-4.1-mini
▼ 推論モデル
- o3
- o3-pro
- o4-mini
- o4-mini-high
「GPTモデル」は「”考えながら書く”感覚派タイプ」です。テキストを出力し始めるまでの待機時間がほぼない早い反面、文章はやや読みづらかったり、破綻していたりするというデメリットがあります。
「推論モデル」は「”考えてから書く”論理派タイプ」です。テキストを出力し始めるまでの待機時間が数十秒〜数分かかりますが、まず思考や文章の枠組みを構築してからテキストを出力していくため、文章は整然としており破綻も少なくなります。
分析やレポート作成を行なう際には、必ず推論モデルを利用します。
なぜなら、分析やレポート作成は、論理的な思考力・表現力が求められるタイプのタスクだからです。
分析と、それを踏まえたレポート作成においては、大きく分けると、①まず事実を整理し、②事実にもとづいて考察し、③考察にもとづいて提案する、という3つのプロセスをたどります。
後工程は前工程の実行結果に論理的に依存しており(事実整理→考察→提案)、この依存関係を守りながら出力をするためには、論理的な思考力が不可欠です。
もしGPTモデルにこのようなタスクを実行させると、例えば、せっかく事実整理をしたのにその内容を忘れて考察をしてしまう、提案が考察にもとづいていない部分がある、といった問題が起きます。
安定して精度の高い出力をしてもらうためには、推論モデルを選択しましょう。

なお、ChatGPTの無料プランでも一部の推論モデル(o4-mini)を利用することはできますが、利用回数に制限がかかっており、十分な試行錯誤ができません。さらに、「o3」という高度な推論モデルに至っては、そもそも利用することができません。
したがって、試行錯誤を繰り返しながら質の高い分析をしたい方は、有料プラン(「Plusプラン」または「Proプラン」)のご契約をおすすめします。
推論モデルの設定方法
念のため、推論モデルの利用方法にも触れておきます。
無料版を使っている方は、ChatGPTのチャット入力欄にある「ツール > 熟考」をクリックしてください。そうすると「推論」と表示されるようになります。これが、推論モードがオンになった状態です(適用されるモデルは「o4-mini」です)。
有料版を使っている方は、まず、ChatGPTのチャット入力画面の左上にある「ChatGPT 4o」など、モデル名が書かれた箇所をクリックしてください。次に、利用可能なモデル一覧が表示されるので「o3」をクリックしてください。これで、推論モデルを利用できます。
下準備②: データの用意
どんなに優秀なデータアナリストでも、適切なインプットがなければいいアウトプットはできません。
生成AIももちろん同じです。生成AIが分析しやすいようなデータやプロンプトを、分析しやすい形式で提供しましょう。
※以下のポイントはすべて、ChatGPTの有料プランで利用できる「o3」モデルに関する情報です。無料プランの場合には前提条件が異なりますのでご注意ください。
【ポイント1】応答時に処理できる”トークン数”は最大で20万まで
o3モデルが同時に処理可能なトークン数(生成AIの情報処理の単位で、人間でいうと”文字数”や”単語数”に近い概念です)は20万です。これは日本語でいうと、おおよそ20万文字程度の情報であれば頭の中に入れたうえで応答ができることを意味します。
逆に言えば、o3モデルは(入力・出力・処理のすべてを合計して)20万文字以上を超える情報は適切に処理することができません。インプットを増やせばアウトプットが良くなるわけではなく、むしろインプットや処理の量を適切にコントロールしないとアウトプットの品質が下がってしまうことに注意が必要です。
今回のタスクでは、約3,000文字のプロンプトを用意し、2回に分けて応答を行なってもらいました。出力された文字数は多く見積もっても1万文字程度です。処理を含めても、おそらく20万トークン以内の情報量に収められているはずです。
【ポイント2】画像やPDF、CSVなどの様々な形式のデータに対応している
ChatGPTのo3モデルは、画像やPDF、CSV、Excelファイル、Wordファイル、PowerPointファイルなど、幅広いファイル形式の読み込みに対応しています。
- 【画像】テキスト情報では表現できないような視覚的な情報を簡単にインプットできます
- 【CSVやExcelファイル】アカウント運用に関するデータを前処理・分析できます
- 【PDFやPowerPointファイル】作成済みの資料やレポートの内容を把握させることができます
今回のタスクでは、インプットとして画像・PDFを渡します。
また、データや画像などを既に配置してあとは考察テキストを書き込むだけ、という状態のPowerPointファイルを提供し、そこに考察テキストを書き込んでもらうことでレポートを完成させます。

この、データや画像などを既に配置してあるPowerPointファイルは、「SINIS for Instagram」の「レポート自動作成機能」を使って出力しています。
あとは考察を書くだけ、という状態のPowerPointファイルがワンクリックでダウンロードできるため、レポート作成にかける労力を何分の一にも削減できる機能です。
詳細はこちら。
【ポイント3】一回の送信あたりに添付できるファイルの数は10点まで
ChatGPT上でo3モデルを利用して分析やレポート作成を行なう場合、一度に添付できるファイル数の上限は10点であることに注意しましょう。
例えば、大量の画像を一度に添付することはできません。もしより多くの情報をインプットしたい場合には、PDFやPowerPointファイルなどの形式に変換し、複数のページを1ファイルにまとめておく必要があります。
今回のタスクでは、5点の画像と1点のPDFを分析用データとしてインプットします。

データ分析のためのプロンプト
それでは、ここまでの下準備を踏まえて、データ分析を行ないましょう。
今回のタスクで利用したプロンプトは、以下のものです。
▼ データ分析用プロンプト
==============================
2025年3月のInstagramアカウントの運用レポートを作成します。
レポート作成においては「# 分析のステップ」「# レポート作成のステップ」という2つのステップを順に踏む必要があります。
今回は「# 分析のステップ」を実行してください。なお、分析のステップは全部で13まであります。
# 提供するデータ
## 画像ファイル
- ある月の、Instagramの投稿のランキングです。画像ごとに、何の指標に関するランキングなのかが異なります。
## PDFファイル
- ある月の、Instagramアカウントの運用に関する分析レポートです。
# 分析のステップ
以下の流れで、ChatGPTのチャットウィンドウ上に分析結果を出力してください。
1. 「input.pdf」に対してfile_search.open & file_search.find でPDFの読み取りを行ない、re / pandas で構造解析してください。
2. レポート内の全体サマリ(合計(p2)、平均(p3))を確認し、大まかなアカウント運用の状況を先月比も踏まえて表形式で把握してください。表のカラムは指標、当月実績(合計)、先月比(合計)、当月実績(平均)、先月比(平均)主な要因、備考、です。
===============ここから画像処理を挟む===============
3. 添付した画像に対して、視覚認識で画像解析を行なってください。
4. 添付した画像を参照し、その月のフィード投稿のベスト5・ワースト5のすべての投稿について、なぜそうなったのかを、ターゲットの行動特性や興味関心も踏まえながら、詳細な理由を言語化しすべての投稿について説明してください。
5. 添付した画像を参照し、その月のストーリーズ投稿のベスト5・ワースト5のすべての投稿について、なぜそうなったのかを、ターゲットの行動特性や興味関心も踏まえながら、詳細な理由を言語化しすべての投稿について説明してください。
6. 添付した画像を参照し、その月のリール投稿のベスト5・ワースト5のすべての投稿について、なぜそうなったのかを、ターゲットの行動特性や興味関心も踏まえながら、詳細な理由を言語化しすべての投稿について説明してください。
===============ここまで画像処理を挟む===============
7. レポート内のその月の日別のフォロワー関連・プロフィール関連の各指標を確認し、どの日にどのくらいの数値を記録したかを把握してください。
8. 良かった点・続けたほうがよい取り組みを網羅的に挙げてください。箇条書きではなく、文章として3つ以上のポイントを挙げて記述してください。
9. 改善が必要な点・やめたほうがよい取り組みを網羅的に挙げてください。箇条書きではなく、文章として3つ以上のポイントを挙げて記述してください。
10. 来月に実施すべき具体的なネクストアクションを、フィード・ストーリーズ・リールそれぞれで、投稿数も含めて提案してください。ただし、提案の前提として、「# 前提情報」を踏まえ、特にターゲットに対してなぜそのアクションが有効なのかを説得力をもって説明してください。
11. 具体的なネクストアクションを踏まえ、具体的な投稿案を作成してください。投稿の種類(フィード/ストーリーズ/リール)や、カテゴライズ済みの投稿カテゴリのうち、どれに当てはまるものかも明示してください。
12. 来月に実施すべきネクストアクションによって、来月はどのくらいの数値を達成できそうかを予測してください。
13. 具体的な投稿案について、実際に作成する際に参照・ベンチマークすべき競合アカウントの例を5つ挙げてください。アカウント名を挙げる際には、そのアカウントが実在するかをWebSearchして確認してください。
# 分析・レポート作成における注意点
- Instagramやマーケティングに詳しくないメンバーにもわかりやすく伝わるように、丁寧で詳細な解説をこころがけてください。
- 投稿種別については「フィード」「ストーリーズ」「リール」という表記を用いること。
- 指標名については「リーチ数」「閲覧数」「エンゲージメント数」「いいね数」「保存数」「コメント数」「アカウントリーチ数」「プロフィールアクセス数」「ウェブサイトURLクリック数」など、正式名称を用いること。
- 5.6kなどの「k」という短縮表記は用いないこと。
- すべての数値は省略せず、算用数字で記載してください。
- マーケティング上の専門用語(例: CTR、CEP、カスタマージャーニーなど)は使用を避けてください。もしどうしても使用しなければならない場合には、注釈を入れてください。
==============================
このプロンプトを、7つのポイントにまとめて解説します。

1. 最初に「何をしてほしいのか」を要約して伝える
細かな指示を羅列するだけでは、ChatGPTも目的や方針を汲み取りかねて、期待したアウトプットを出せないリスクが高まります。まず最初に、おおまかに”やってほしいこと”を伝えましょう。
2. 添付したデータがどんなものかを説明する
例えばInstagramの投稿画像を添付する場合、それをChatGPTが勝手に「Instagramの投稿画像だ」と判別してくれることもあるでしょうが、不確実です。
何か添付ファイルがある場合には、その説明を付け加えましょう。
3. タスクをできるだけ細かいステップに分解する
分析やレポート作成のような抽象度の高いタスクにおいては、タスクを細かいステップに分解したうえで具体的に指示をすることで、アウトプットの品質を安定させることができます。
もちろん、曖昧な指示でも現在の生成AIであればそれなりのアウトプットを出してくれますが、コントロールできていないアウトプットに関して、その品質を正しく評価することはできません。必ず、細部まで評価できるほど詳細に指示をしましょう。
なお、この分解と具体指示が、プロンプト作成において最も難しいです。そのタスクの熟練者にヒアリングし、プロセスを言語化してプロンプトに落とし込みましょう。
4. 投稿をグループに分類する
投稿単位でも分析はできますが、それだけだと分析結果も細かい話題ばかりになってしまいます。詳細な分析が必要な場合にはそれでもよいでしょうが、実際のところ、分析結果を報告するシーンで求められるのは「現状が良いのか/悪いのか」「おおよそどんな投稿が良いのか/悪いのか」といった粒度の情報ではないでしょうか。
したがって、投稿をある程度の大きさをもったグループに分類し、グループごとのパフォーマンスを比較して分析するのが有効です。それで大まかな傾向を掴んだうえで個別の投稿についての分析結果にも触れると、理解がより深まるでしょう。
5. ChatGPTの「Web検索」を活用する
2025年4月時点のChatGPTは、無料プラン・有料プランのいずれでも、対話の中で最新のWeb上の情報を検索して取得する機能を利用できます。
そもそも、モデルによっていつまでの情報を学習(自由に引き出せる情報として保有)しているかが異なるのはご存知でしょうか?
例えばo3モデルは、2024年6月1日までの情報しか学習していません。つまり、2024年9月に石破茂氏が自民党総裁選を制し、2024年10月に第102代首相に選出されたことを、o3モデルは知りません。
ただし、先述の「Web検索」を利用すれば、学習していない情報についても補完的に取得することができるのです。最新情報を参照したい場合に便利です。
6. 利用したいライブラリを明示する
「ライブラリ」とは、プログラマーが作成し公開しているプログラミング用のツールのようなものです。コード内でライブラリを呼び出すことで、簡単に高度な機能や処理を実現することができます。
ChatGPTはやり取りのなかで、Pythonと呼ばれるプログラミング言語を使ってコードを実行することができるのですが、あらかじめ定められたいくつかのライブラリであれば呼び出すことができます。
今回のプロンプトでは「file_search」「re」「pandas」という3つのライブラリを指定していますが、これらは、PDFを読み取ったり、PDF内のテキストを検索・参照したり、データ分析をするためのものです。
7. 専門用語は使わないように依頼する
レポートは上司やクライアントをはじめ、多くの関係者が見ることが想定されます。中にはマーケティングやInstagramのことをあまり知らない方もいるでしょう。そんな方にも配慮したレポートを作成しておくことは、修正や再作成の手間を省いたり、認識の齟齬を避けたりするうえで必要な対策です。
例えば、「Instagramやマーケティングに詳しくないメンバーにもわかりやすく伝わるように、丁寧で詳細な解説をこころがけてください。」という一文をプロンプトに含めるだけで、文体や語彙がやさしくなります。
レポート作成のためのプロンプト
さあ、いよいよレポート作成です。
以下のプロンプトを、SINIS for Instagramの「レポート自動作成機能」で出力したPowerPointファイルと一緒に送信することで、自動でレポートを作成してくれます。
※このプロンプトは同じチャットルーム内で生成された分析結果にもとづいてレポートを作成するためのものなので、先に、上記の「データ分析のためのプロンプト」を実行しておく必要があることに注意してください。
▼ レポート作成用プロンプト
==============================
2025年3月のInstagramアカウントの運用レポートを作成します。
レポート作成においては「# 分析のステップ」「# レポート作成のステップ」という2つのステップを順に踏む必要があります。
最後に「# レポート作成のステップ」を実行してください。
# 添付ファイルについて
「input.pptx」は、2025年3月のInstagramアカウント運用データのPowwerPoint形式のレポートです。
以下はページごとの概要です。
- 1: 表紙
- 2: 【全体サマリー】投稿からアクションまでの流れ(合計) | 当月の各指標の合計値と、先月比の差分が表示されています。
- 3: 【全体サマリー】投稿からアクションまでの流れ(平均) | 当月の各指標の平均値と、先月比の差分が表示されています。
- 4: 中表紙
- 5: 【日別グラフ】フィード投稿のリーチ数 | フィード投稿のリーチ数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 6: 【ランキング】フィード投稿のリーチ数 | フィード投稿のリーチ数のトップ5/ワースト5の投稿が、各投稿のリーチ数とともに表示されています。
- 7: 中表紙
- 8: 【日別グラフ】フィード投稿のエンゲージメント数 | フィード投稿のエンゲージメント数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 9: 【日別グラフ】フィード投稿のいいね数 | フィード投稿のいいね数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 10: 【日別グラフ】フィード投稿のコメント数 | フィード投稿のコメント数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 11: 【日別グラフ】フィード投稿の保存数: フィード投稿の保存数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 12: 【ランキング】フィード投稿のエンゲージメント数/いいね数 | フィード投稿のエンゲージメント数/いいね数のトップ5/ワースト5の投稿が、各投稿のエンゲージメント数/いいね数とともに表示されています。
- 13: 【ランキング】フィード投稿のコメント数/保存数 | フィード投稿のコメント数/保存数のトップ5/ワースト5の投稿が、各投稿のコメント数/保存数とともに表示されています。
- 14: 【ファネル】フィード投稿のエンゲージメント | フィード投稿のエンゲージメントのファネル分析をしています。
- 15: 中表紙
- 16: 【日別グラフ】ストーリーズ投稿のリーチ数 | ストーリーズ投稿のリーチ数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 17: 【ランキング】ストーリーズ投稿のリーチ数 | ストーリーズ投稿のリーチ数のトップ5/ワースト5の投稿が、各投稿のリーチ数とともに表示されています。
- 18: 中表紙
- 19: 【日別グラフ】リール投稿のリーチ | リール投稿のリーチ数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 20: 【日別グラフ】リール投稿の閲覧数 | リール投稿の閲覧数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 21: 【ランキング】リール投稿のリーチ数 | リール投稿のリーチ数のトップ5/ワースト5の投稿が、各投稿のリーチ数とともに表示されています。また、その下には各指標が表形式で表示されています。
- 22: 中表紙
- 23: 【日別グラフ】アカウントリーチ数 | アカウントリーチ数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 24: 【日別グラフ】プロフィールアクセス数 | プロフィールアクセス数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 25: 【日別グラフ】ウェブサイトURLクリック数 | ウェブサイトURLクリック数の合計値と、先月比の差分、日別の棒グラフが表示されています。
- 26: 【ファネル】プロフィールアクセス | アカウントリーチ数 > プロフィールアクセス数 > ウェブサイトURLクリック数 のファネル分析をしています。
- 27: 中表紙
- 28: 【日別グラフ】フォロワー純増減数・フォロワー数 | 当月末のフォロワー数と、当月のフォロワー純増減数の合計値、日別の棒グラフが表示されています。
- 29: 【日別グラフ】フォロワー増加数・フォロワー減少数 | 当月のフォロワー増加数とフォロワー減少数の合計値と、先月比の差分、日別の積み上げ棒グラフが表示されています。
- 30: 【ファネル】フォロワーの獲得 | アカウントリーチ数 > プロフィールアクセス数 > フォロワー増加数・フォロワー減少数 のファネル分析をしています。
- 31: 指標名・用語について1
- 32: 指標名・用語について2
- 33: 指標名・用語について3
- 34: 指標名・用語について4
- 35: 指標名・用語について5
# レポート作成のステップ
ChatGPTのチャットルーム上に出力された分析結果を踏まえて、python-pptxを用いてPowerPointレポート「input.pptx」を編集します。
すべてのページに対しての記入が終わったら、編集済みのPowerPointファイルをダウンロード可能な状態にしてください。
1. 「# 添付ファイルについて」に記載の、ページごとの概要を把握してください。
2. 各ページに関連する内容をチャットウィンドウ内の分析結果から抽出・引用し、各スライドの説明・考察・提案の文章となるように各ページ250文字程度の自然な日本語のコメントを作成します。コメントは各ページの「ここにコメントを記入してください。 」というプレースホルダーが設定されているテキストボックスに記入するものとし、そのようなテキストボックスが存在しないページに関してはコメント不要です。
## テキストについて
- コメントであることの明示、内容のラップアップ、内容のカテゴライズや分類などにあたる説明や見出しは不要です。
- Instagramやマーケティングに詳しくないメンバーにもわかりやすく伝わるように、丁寧で詳細な解説をこころがけてください。
- 箇条書きではなく、論理的でわかりやすく読みやすいテキストで表現してください。
- 文字数は指定通りになっているのか、カウントして検証すること。
- 句読点や記号で水増ししないでください。
## デザインについて
フォントはArial、フォントサイズは12pxで固定してください。
もしフォントがこのルールに則っていない場合、修正してください。
# 分析・レポート作成における注意点
- Instagramやマーケティングに詳しくないメンバーにもわかりやすく伝わるように、丁寧で詳細な解説をこころがけてください。
- 投稿種別については「フィード」「ストーリーズ」「リール」という表記を用いること。
- 指標名については「リーチ数」「閲覧数」「エンゲージメント数」「いいね数」「保存数」「コメント数」「アカウントリーチ数」「プロフィールアクセス数」「ウェブサイトURLクリック数」など、正式名称を用いること。
- 5.6kなどの「k」という短縮表記は用いないこと。
- すべての数値は省略せず、算用数字で記載してください。
- マーケティング上の専門用語(例: CTR、CEP、カスタマージャーニーなど)は使用を避けてください。もしどうしても使用しなければならない場合には、注釈を入れてください。
==============================
このプロンプトを、3つのポイントにまとめて解説します。

1. 編集用のひな型となるレポートを用意する
現状、ChatGPTに0からレポートを作成してもらうのは現実的ではありません。
レポート内の要素を描画することにリソース(トークン数)を消費してしまうと、その分、分析や考察がおろそかになってしまいますし、出力結果の品質もばらついてしまいます。
アウトプットの品質を安定して高く保つためには、まず、編集用のひな型となるレポートを用意する必要があります。
今回は「SINIS for Instagram」が提供している「レポート自動作成機能」を使って出力した、kurasumuというアカウントの月次レポートを使用しています。
既に投稿画像や数値データなどが整理されて入力された状態のPowerPointファイルがワンクリックでダウンロードできるため、まったく時間をかけずにもととなるレポートを用意できるのでたいへん重宝します。詳細はこちら。
2. 編集するファイルの内容をページごとに説明する
ChatGPTにファイルを読み込んでもらい、各ページの内容を理解させることも可能です。ただし、やはりそのためにリソース(トークン数)を消費してしまうと、その分、分析や考察がおろそかになってしまいますし、出力結果の品質もばらついてしまいます。
期待しない動作を防ぐためにも、できる限り、各ページの概要を伝えておけるとよいでしょう。
3. 編集する箇所を厳密に指定する
曖昧な指示でもよしなにPowerPointファイル内の要素を編集してくれますが、どうしても「編集してほしいの、そこじゃないんだよなあ…」という問題が発生します。
そのため、編集対象とする箇所は絞ったうえで、それを厳密に指定するのが望ましいです。
今回のプロンプトでは「text_frameを持つシェイプ」(テキストボックスのこと)のうち、「『ここにコメントを記入してください。』というプレースホルダーが設定されている」もののみを編集対象としています。
ここまで具体的に指定して初めて、思ったとおりのレポート作成が実現できます。
アウトプットされたPowerPointレポート
お待たせしました。以下が、最終的に生成されたPowerPointレポートです。
https://www.slideshare.net/secret/kc8XKQyBlPssOU#1
まだプロンプトを十分に磨き込めていないので、出力されたテキストの品質は今ひとつだと感じます。しかし、たった10分程度の作業で、これだけの情報量を持ったPowerPointレポートが作成できるようになったのは驚くべきことです。
ChatGPTのレポートは”そのまま提出できる”か?
とはいえ、「そのまま提出できるレベルのレポート」を一発で生成できるか?というと、やはりそれは難しいのではないか、と感じます。
その理由は3つあります。
一つ目は、人間の頭の中に入っているような膨大なインプットをすべてChatGPTに渡すことは不可能だということ。
人間が言語化できる情報には限界がありますが、本当に重要なのは往々にして言語化しきれない情報のほうです。それをChatGPTに提供しきれていない限り、アウトプットの品質は”100点”にはなり得ません。
二つ目は、生成AIはあくまでも確率に基づいて単語を連続的に出力しているに過ぎないので、人間のように”意思”や”意図”の伴ったレポートは作成できない、ということ。
将来的に、疑似的に”意思”や”意図”に近い概念を身につける可能性はありますが、それでも、それは人間の意思や意図とは異なります。例えば「こういう言い方をしたら、報告先のあの人はこういうリアクションをするだろうな…」などと考えながらテキストを調整する、といった芸当は、人間が得意とするところです。人間が納得するものは、やはり人間にしか作れないと考えるべきでしょう。
三つ目は、そもそも「誰かが作ったレポートをそのまま提出する」ということ自体が無責任だということ。
人間にしろ、ChatGPTにしろ、誰かが作ったレポートはあなたがチェックし、その品質を保証すべきです。そして、依頼先から提出されたレポートをまったく修正しなくていい、なんてことはありえません。もしそうだとしたら、あなたが介在している価値がなくなってしまいます。あなたがチェックする以上、あなた独自の視点で、そのレポートをより良いものにする責任があるはずです。
ChatGPTは(人間でいうところの)意思も感情も持たないただの道具なわけですから、その道具を使う責任や、使いこなすための努力義務は、あなたに課せられています。
まとめ
今回は、ChatGPTでアカウント分析レポート作成を自動化してみました。
既にChatGPTのみでレポート作成の自動化までを完結させられることは、改めて驚きですね。
しかし、「そのまま提出できるレベルのレポート」を一発で生成できるわけではない、という点には注意が必要です。
もっとも、資料の読み込みと要約、簡単なデータ分析、ラフな考察など、これまで人間がやっていた「作業的」な業務のほとんどは、既に生成AIが高いレベルで実行できるようになってきています。
さらに、「エージェント」という言葉が盛り上がりつつありますが、単一のタスクではなく、複雑なプロセスを生成AIが自律的に処理していく構想も、もはや現実のものになりつつあります。
しかし、それを実現するためには、今回のプロンプトでもわかるように、詳細なステップの定義などが必要不可欠です。人間がなんの努力も工夫もせず、責任も放棄して、生成AIがすべての仕事をこなしてくれるなんてことはありません。
「生成AIを使いこなせる」というスキルは今後も非常に重要ですし、むしろ、それが人間の仕事の大半になっていく未来すらありえます。
したがって、今のうちに生成AIを積極的に活用し、その特性や活用範囲を見極めておくことが、現代のキャリア戦略において重要だといえます。