【開催報告】「第13回 SNS中の人交流会」を開催ーBeRealと考える「盛らない時代のSNS運用」ー
2025年5月22日(木)に企業のSNS担当者・通称「中の人」を対象に親交を深めるイベント「第13回 SNS中の人交流会」を開催しました。
「SNS中の人交流会」とは
「SNS中の人交流会」とは、企業のSNS運用担当者が運用に関する知識を学び、運用担当者同士で親交を深められるオフラインイベントです。
13回目の開催である今回は、株式会社J-WAVE、株式会社大創産業、株式会社富士薬品、株式会社Mizkan、ワタナベエンターテインメント株式会社など様々な業界のSNS運用担当者が30名程参加しました。
〇開催概要
・イベント名 :第13回SNS中の人交流会@目黒|BeReal.と考える「盛らない時代のSNS運用」
・開催日時 :2025年5月22日(木)18時~
・プログラム :オープニング
トークセッション
【参加型】グループディスカッション
交流会
・会場 :テテマーチ株式会社 7Fオフィス
■セッション内容
「BeRealと考える『盛らない時代のSNS運用』
・ゲスト

BeReal.
Agency Partnership Lead
後藤沙百合氏
新卒で広告代理店に入社しメディア営業・運用を経験後、ライフスタイルメディア「TRILL」で広告営業・商品企画・マネタイズに従事。現在はBeReal.の代理店チームでZ世代に向けた広告施策の提案を担う。
・ホスト

テテマーチ株式会社
エバンジェリスト
出口 潤
音楽エンタメ業界で広告営業として従事。その後、マーケティング支援会社にて営業、事業、マーケティング部門の責任者を歴任し、2022年8月にテテマーチへジョイン。社長室 室長、マーケティング部 部長を経て、2025年2月より現職。

BeRealは「好きを身近にする場」
出口:まずは、前提としてプラットフォームの紹介をさせていただければと思います。 主なSNSを月間アクティブユーザー(MAU)順に見ると、Xは6,700万人、Instagramは6,600万人、TikTokは2,700万人。そしてBeReal.は500万人となっています。
各プラットフォームは、それぞれ「好き」の伝え方が違うと考えています。X(Twitter)は「好きを広げる場」、Instagramは「好きを深める場」、TikTokは「好きを作る場」、そしてBeReal.は「好きを身近にする場」、または「好きの重みを増す場」ではないかと考えます。
また、コンテンツの種類(瞬間性か持続性か)とユーザーの関係性(身近な繋がりか関心の繋がりか)で各プラットフォームを分類すると、BeReal.は非常に特徴的な位置にあります。

BeRealの特徴である3つのR
後藤氏:現在、BeRealはZ世代にとても人気のアプリになっています。MAU500万人の83%が14歳から27歳のZ世代です。中でも大学生が半分、中高生が4分の1を占めていて、日本の大学生の約250万人が利用しています。広告をほとんど打っていないにも関わらず、2023年から2025年にかけてユーザー数が右肩上がりに増えていて、友だち同士のつながりで広がってきました。
出口: 広告を使わずにこれだけ伸びているのはすごいですね。
後藤氏:また、BeRealの最大の特徴を「3つのR」で説明します。
リアル(Real):フィルターや加工ができず、過去の画像をアップロードすることもできません。ありのままの姿を投稿します。
日常(Routine): 過去の投稿を見返すことができず、その日その瞬間の出来事を共有する場です。
共感(Relate):ユーザー全員に同じタイミングで「BeRealタイム」という通知が、毎日ランダムに届きます。その通知が来てから2分以内に投稿するルールがあり、ユーザーの約40%(200万人)がその時間に同時投稿しています。これにより、友だちが同じタイミングで何をしているかを同時に共感し合えます。

出口: オンデマンドコンテンツが主流の現代で、同時に体験を共有できる場所が求められているのですね。
後藤氏:BeRealはInstagramのようにオープンでフォロワー数やいいね数を競う場所とは異なり、非常にクローズドなコミュニティです。平均の友だち人数は30人程度で、これは本当のリアルの友だちとの繋がりが中心です。
ユーザーアンケートによると、BeRealを使う理由の49%が「繋がっているメンバーのリアルな様子が見られるから」です。他のSNSは「リアルじゃない」とZ世代が認識しているという側面もあるかもしれません。
出口:SNSの原点回帰のようなプラットフォームですね。
日常に溶け込んだ「人の裏側」が見えるクリエイティブの広告が効果的
出口:では、広告についてはいかがでしょうか。
後藤氏: BeRealの広告は、ユーザーの投稿と投稿の間に表示され、静止画と動画の両方に対応しています。ただし、コメントやいいね、シェア機能は現状ありません。広告主はBeRealにアカウントがなくても出稿可能です。
広告メニューは主に2種類あります。
・テイクオーバー
1日1社限定の買い切りプランで、すべての広告枠を買い切る「マックス・テイクオーバー」は1,500万円から、最初の7広告枠を買い切る「テイクオーバー7」は1,000万円から、最初の5広告枠を買い切る「テイクオーバー5」(*1)は750万円です。マックス・テイクオーバーでは、BeReal. Ad Survey(広告効果調査パッケージ)も付帯します。
「テイクオーバー5」は(*1)25年6月末まで限定価格で500万円
・バランスリーチ
CPM保証型で配信できるインプレッション保証メニューで、ターゲティングも可能です。

出口:広告はどのようなクリエイティブにすると効果が良いのでしょうか。
後藤氏: 弊社の検証から、CTR(クリック率)が高いクリエイティブの傾向が見えてきました。例えば、顔の半分を隠す「BeReal.撮り」と呼ばれる、あえて斜めに撮ったり、少し雑に見えるような、ユーザーのリアルな投稿に近いクリエイティブです。ユーザーに親近感を持たせ、広告っぽさを感じさせない点が重要だとわかってきました。
出口:他のSNSで効果的な「きれいに作り込まれた」クリエイティブとは異なるのですね。
後藤氏:まさにその通りです。コスメの事例でも、窓に映る人物の姿やポーチの中身など、「人の裏側」が見えるようなクリエイティブが非常に相性が良いです。一般的な広告クリエイティブと比較して、同じ商材でもBeReal.に最適化されたクリエイティブはCTRが10倍高くなることもあります。Z世代はデジタルネイティブで、広告に対して厳しい目を持っているので、いかに日常に溶け込み、共感を呼ぶかが肝になります。
出口:日常のシーンに溶け込むような訴求がポイントですね。
後藤氏:また、日常のモーメントに合わせた使い方を提案するクリエイティブや、ドラマの撮影の裏側を見せるエンタメ系のコンテンツも効果的です。インカメとアウトカメラのフォーマットもBeRealならではの表現方法です。
また、ある映画の広告はBeRealと相性の良い静止画の広告でしたが、ファンがそれを見るためにBeRealを開いたり、広告を見たことがきっかけで映画を観に行ったりするほどのインパクトがありました。ユーザーはBeRealの広告を「遭遇すること自体」を楽しんでいるようなコメントも見られます。
出口:それは面白い現象ですね。広告が「当たり」になるというのは新鮮です。
後藤氏:BeRealの広告をきっかけにランディングページを訪れたユーザーのうち、97%が新規ユーザーだったというデータもあり、Z世代が他のSNSの広告に慣れているからこそ、BeRealの新鮮さに惹かれているのだと思います。
公式アカウントもユーザーと同じ「2分以内投稿」のル-ル
出口:公式アカウントの開設についてはいかがでしょうか?興味がある企業も多いと思います。
後藤氏: 現状公式アカウントは審査制となっており、約150アカウント存在します。公式アカウントは一方的なフォローが可能で、過去の投稿が見れるようになるという違いがあります。また、公式アカウントもユーザーと同じルール(画像のアップロード不可、加工不可)が適用されます。
出口:企業のSNS運用では社内承認なども必要になるため、BeRealタイムの2分間に投稿することは少しハードルが高そうですね。
後藤氏:そうですね。そのため、通知が来た瞬間に投稿するのが難しい場合は、後から投稿するケースもありますし、例えば、毎日同じ場所から写真を撮るなど、運用しやすい工夫をしている企業もあります。アカウント開設前に、継続的に運用していくイメージを持つことが重要です。
「友達を増やすのではなく、親友を増やす」イメージ
出口:では、SNS運用の成果指標についてお伺いしたいのですが、BeRealのようなプラットフォームで「繋がりの深さ」を追求する場合、フォロワー数ではなくどのような指標を重視すべきでしょうか。
後藤氏:フォロワー数・いいね数などではなく、フォロワー数に対するエンゲージメント率を重視してほしいと考えています。他のプラットフォームと比較して、BeRealではこのエンゲージメント率が10倍良い事例もあります。これは「繋がりの重さ」を表し、「友達を増やすのではなく、親友を増やす」というイメージです。
出口:その「親友」を増やしたことが、どのように売上やビジネス成果に繋がるのかを社内に説明するにはどうすればよいでしょうか。
後藤氏: 現状、直接的な売上貢献のデータはまだ取れていませんが、弊社のデータでは、熱量の高いファンほど購買額が高い傾向にあります。そのため、BeRealの活動が既存ファンの熱量を高めているという点では貢献していると言えるでしょう。
さらに、ECサイトであれば、購入者アンケートでSNSの投稿を見たか確認するなど、間接的な貢献度を測る方法もあります。BeRealとしても、この「好きの重さ」がビジネス成果にどう繋がるか、事例を作っていきたいと考えています。
デジタルネイティブ世代が求める「フィルターを通さないリアルタイムな状態」
後藤氏:私も実際にBeRealを使ってみると、ユーザーが学生時代に学食なう、と投稿していた時の感覚に近い、「フィルターを通さないリアルタイムな状態」を求めているのだと実感しました。
Z世代はデジタルネイティブで、感覚が研ぎ澄まされているからこそ、既存のSNSの広告に溢れて、本当の繋がりが見えにくくなった状況に敏感で、BeRealの原点回帰的なコンセプトに惹かれているのだと思います。BeRealはZ世代のマーケティングに非常に有効ですが、他の年代にも使っていただきたいツールです。
出口:SNSは拡大しすぎて飽和し、身近な人との繋がりという本来の目的から離れてしまった面があります。しかし、BeRealは「フィルターを通さないリアルタイムな状態」という、ユーザーが心理的に求めている部分にフィットし、成功していると感じます。企業としてすぐにBeRealを始めるというわけでなくても、まずはご自身で使ってみることで、その世界観を体験していただけると思います。
■グループディスカッション
「SNSでブランドへの共感・自分ごと化を促すために何をしていますか?現状の課題は?」
というディスカッションテーマで、グループワークを実施しました。
各テーブルの参加者同士、積極的に意見交換し盛り上がりました。
■懇親会
グループディスカッション終了後は、参加者同士が自由に交流できる懇親会を実施しました。


■参加者の声
以前ご参加経験のある方も多く、今回も大盛況でした。
「興味の高いテーマだったので、非常に学びになりました。」
「交流会が非常に楽しく、また近しい部署の方ともっとお話ししてみたいです。」
など、たくさんの熱い感想や次回への期待の声が寄せられ、参加者へのアンケートでは、トークセッションに対して「大変満足した」「満足した」と回答した人が100%という結果でした。
皆さまの期待に応えられるよう、これからもさらに楽しいイベントを企画していきます!
■総括
各プラットフォームには異なる特徴があります。 例えば、「好き」という観点で各SNSの特徴を振り返ってみるとBeRealは「好きの重みを増す場=好きを身近にする場」として、ユーザーとブランドの関係性を深めることに特化しています。このように各プラットフォームの特徴に合わせて、どのプラットフォームでどのような目的で、どのような投稿をしていくのかを整理していくことが重要となります。

また弊社では、SNS時代の消費行動モデル「PERCARS(パーカーズ)」を提唱しており、SNS運用担当者はこの全てのフェーズに関わっています。X、Instagram、TikTokといったプラットフォームがそれぞれ異なるフェーズに作用する中で、BeReal.の場合、広告では序盤の「Personalized」に、公式アカウントでは「Research」や「Communication」に強く作用する可能性があります。

上図を踏まえてSNSアカウントを運用するポイントは3つあります。
- フォロワーの属性を深く理解する: 既存顧客と見込み顧客がどれだけいるか等、彼らがどのような行動をしているか。
- 業界・商材の理解: 3C分析などを通じて、お客様のニーズを深く理解する。
- アカウント運用における注力先を言語化する: 認知拡大か、LTV向上かなど、目的によって運用方針やKPIが変わります。
これらのポイントを整理するためにも、ブランドの価値、訴求ターゲット、媒体の特性を整理し、コンテンツを企画していくことが必要となります。テテマーチでは、上記で挙げたポイントを把握するためにフォロワー購買行動調査などを通じて、フォロワー属性やSNSの役割を明確化し、アカウントの全体戦略の支援も行っています。
全体戦略にあたり、最終的なゴール(KGI)を設定し、それを達成するためのポイント(KSF)、そして日々の具体的な目標(KPI)を「カスケード式」に設計していくことが重要です。テテマーチでは、こうしたSNS戦略のコンサルティングやフォロワー調査など、運用に関する様々な支援を提供しています。
ぜひお気軽にご相談ください。
■次回開催について
ご好評につき第14回の開催が決定しました。
- イベント名 :第14回SNS中の人交流会@目黒|noteに聞く「広告に依存しないファンの増やし方」
- 開催日時 :2025年6月26日(木)18時~
- 参加費 :無料
- 会場 :テテマーチ株式会社 東京都目黒区目黒1-24-12 オリックス目黒ビル 7F フリースペース
- お申込みフォーム:https://tetemarche.co.jp/seminar/250626
■イベントに関するお問い合わせ先
イベントについてのお問い合わせは以下までお願いいたします。
〇担当:福島(ふくしま)
連絡先:info@tetemarche.co.jp